著者
秋山 理加 濱嵜 朋子 酒井 理恵 岩﨑 正則 角田 聡子 邵 仁浩 葭原 明弘 宮﨑 秀夫 安細 敏弘
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.76-84, 2018 (Released:2018-05-18)
参考文献数
47
被引用文献数
1

【目的】在宅高齢者を対象として簡易嚥下状態評価票(EAT-10)を用いて,嚥下状態と栄養状態の関連について明らかにすることを目的とした.【対象および方法】新潟市の85歳在宅高齢者129名を対象とした.口腔と全身の健康状態に関するアンケートを郵送し自記式にて調査を行った.調査内容は,EAT-10,現在歯数,簡易栄養状態評価(MNA-SF),主観的健康観,老研式活動能力指標,Oral Health Impact Profile-49(OHIP),嚙める食品数である.これらの因子について,EAT-10の合計点数が3点以上を嚥下機能低下のリスク有り群とし,3点未満の群との比較検討を行った.【結果】EAT-10によって,嚥下機能低下が疑われたものは52.7% であった.嚥下機能低下のリスク有り群ではOHIP 高値(p<0.001),嚙める食品数低値(p<0.001)と有意な関連がみられ,主観的健康観で“あまり健康ではない”者の割合が有意に高く(p<0.001),MNA-SFで“低栄養”の割合が有意に高かった(p=0.007).さらに,MNA-SF を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果,栄養状態と嚥下機能には有意な関連がみられ,EAT-10の点数が高くなるほどMNA-SF で“低栄養のリスク有りまたは低栄養”となるオッズ比が有意に高かった (p=0.043).【結論】在宅高齢者の嚥下機能低下と低栄養状態との関連性が示唆された.
著者
秋山 理加 濱嵜 朋子 岩﨑 正則 角田 聡子 片岡 正太 茂山 博代 濃野 要 葭原 明弘 小川 祐司 安細 敏弘 宮﨑 秀夫
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.136-146, 2021 (Released:2021-08-15)
参考文献数
37

わが国では,年々超高齢者数が増加している.健康度の高い在宅超高齢者の食生活の実態を把握することは健康寿命延伸の有益な知見になると考えられる.そのため著者らは,在宅超高齢者を対象として,食事パターンを同定し,栄養素摂取量,栄養状態および嚥下状態との関連について明らかにすることを目的として本研究を行った. 新潟市の91歳在宅高齢者86名を対象として,簡易型自記式食事歴法質問票(BDHQ),簡易栄養状態評価(MNA-SF),簡易嚥下状態評価票(EAT-10)による調査を行った.食品群別摂取量から主成分分析を行い,食事パターンを同定し,それらと栄養素摂取量の関連を検討した.さらに,各食事パターンと食に関連する因子,MNA-SFおよびEAT-10との関連を比較検討した. 主成分分析の結果,4つの食事パターンが同定された.それぞれの主成分得点三分位によって栄養素摂取量を比較したところ,肉,魚,野菜類の摂取量が多く,ご飯,パンが少ない「副菜型」では,高得点群ほどたんぱく質やビタミンDなどの栄養素摂取量が多く,栄養状態も良好な者が多かった.また,MNA-SFで低栄養と判定された群では対照群と比べて嚥下機能低下のリスクのある者の割合が有意に高かった. さらに,「副菜型」の食事パターンでは居住形態や共に食事をする人の有無との関連も示唆された.