著者
濱嵜 朋子 酒井 理恵 出分 菜々衣 山田 志麻 二摩 結子 巴 美樹 安細 敏弘
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.72, no.3, pp.156-165, 2014 (Released:2014-07-19)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

【目的】栄養状態と口腔内因子の関連については,多くの報告がみられる。これまでの報告は口腔機能との関連について検討したものが多い。本研究では舌の状態など,器質的な口腔内因子に着目し,栄養状態との関連について明らかにすることを目的とした。【方法】対象者は通所高齢者82名とした(男性29名,女性53名,年齢81.5±7.2歳(平均±標準偏差))。栄養状態,生活および食習慣の状況,栄養素等摂取量,食事摂取時状況および口腔内の状況について調査を行い,口腔内状況と栄養状態評価との関連について比較検討を行った。【結果】栄養状態と関連のあった口腔内因子は,“食事中の食べこぼし”と“舌苔の厚み”であった。食習慣では,“間食としてパンを摂取する”,“加工食品を使用する”,“大豆製品摂取頻度が少ない”および“漬け物摂取頻度が少ない”もので,いくつかの口腔内因子との関連がみられた。“食べこぼし有り”の者は,“たんぱく質エネルギー比率”が低いという特徴がみられた。【結論】食事状況や器質的な口腔内因子が栄養状態,食習慣さらには摂取栄養素と関連が認められた。そのため,食習慣についての把握,食事状況や口腔についての十分な観察,食事介助の改善および口腔ケアの実施に取り組むことの重要性が示唆された。
著者
酒井 理恵
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.229-232, 2011-08-25 (Released:2013-03-25)
参考文献数
6

1)ハーバード大学公衆衛生大学院の修士課程に在籍し,米国にて公衆衛生を学ぶ機会を得た.2)ハーバード大学公衆衛生学大学院では,学生の意欲に任された教育体制になっており,このような教育システムの違いについて学ぶことも,今後,教育者,指導者になる上で参考になると思われた.3)米国での公衆衛生学修士課程では,医学研究者であればどの分野でも必要とされる生物統計学や疫学について学ぶことができ,医師のキャリア形成の中で一つの選択肢となると感じた.
著者
酒井 理恵 山田 志麻 二摩 結子 濱嵜 朋子 出分 菜々衣 安細 敏弘 巴 美樹
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.28-37, 2014 (Released:2014-01-30)
参考文献数
32

通所利用在宅高齢者のMini Nutritional Assessment( MNA®)による栄養状態評価と身体状況(日常生活動作、体重、ふくらはぎ周囲長など)、現病歴・既往歴との関連について調査を行い、これらの関連を明らかにすることを目的とした。対象者は通所利用する要介護在宅高齢者78 名、平均年齢81.0 ± 7.29 歳。摂取栄養素量はエネルギー、たんぱく質を含む10 項目で有意に低値であり、体重の維持は低栄養状態の予防に繋がるため、食事量の維持が必要であると考える。また、体重とふくらはぎ周囲長は男女ともに正の相関関係にあり、筋肉量の維持には適度な運動を取り入れサルコペニア予防とともに低栄養予防に繋げる必要がある。さらに、在宅高齢者は定期的に栄養状態評価のスクリーニングを実施し、低栄養の指標となる体重低下やふくらはぎ周囲長の減少を早期発見し重症化を予防することが必要である。
著者
秋山 理加 濱嵜 朋子 酒井 理恵 岩﨑 正則 角田 聡子 邵 仁浩 葭原 明弘 宮﨑 秀夫 安細 敏弘
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.76-84, 2018 (Released:2018-05-18)
参考文献数
47
被引用文献数
1

【目的】在宅高齢者を対象として簡易嚥下状態評価票(EAT-10)を用いて,嚥下状態と栄養状態の関連について明らかにすることを目的とした.【対象および方法】新潟市の85歳在宅高齢者129名を対象とした.口腔と全身の健康状態に関するアンケートを郵送し自記式にて調査を行った.調査内容は,EAT-10,現在歯数,簡易栄養状態評価(MNA-SF),主観的健康観,老研式活動能力指標,Oral Health Impact Profile-49(OHIP),嚙める食品数である.これらの因子について,EAT-10の合計点数が3点以上を嚥下機能低下のリスク有り群とし,3点未満の群との比較検討を行った.【結果】EAT-10によって,嚥下機能低下が疑われたものは52.7% であった.嚥下機能低下のリスク有り群ではOHIP 高値(p<0.001),嚙める食品数低値(p<0.001)と有意な関連がみられ,主観的健康観で“あまり健康ではない”者の割合が有意に高く(p<0.001),MNA-SFで“低栄養”の割合が有意に高かった(p=0.007).さらに,MNA-SF を従属変数としたロジスティック回帰分析の結果,栄養状態と嚥下機能には有意な関連がみられ,EAT-10の点数が高くなるほどMNA-SF で“低栄養のリスク有りまたは低栄養”となるオッズ比が有意に高かった (p=0.043).【結論】在宅高齢者の嚥下機能低下と低栄養状態との関連性が示唆された.