著者
深瀬 徹 尹 利根 茅根 士郎 秋浜 澄行 板垣 博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.817-821, 1991-10-15

猫に寄生する猫回虫Toxocara catiおよび猫鉤虫Ancylostoma tu baeformeに対するミルベマイシンDの駆虫効果について検討した. 各々の線虫の自然感染を受けている猫12頭ずつを1群6頭の2群に分け, ミルベマイシンDを0.05mg/kgと0.1mg/kgの用量で経口投与した. その結果, 猫回虫感染猫においては2つの試験群の全例で虫卵が陰転し, 糞便中へ2〜35隻の虫体の排出が認められた. これらの猫を剖検したところ, いずれの群においても, 各4頭には虫体の残存はみられず, 他の2頭から1隻と2隻の幼若虫体が検出された. 一方, 猫鉤虫感染猫では, 投薬群2群の全例において, 虫卵の陰転と糞便中への2〜62隻の虫体の排出が認められ, 剖検時に虫体の残存がみられたものはなかった. 以上の成績から, ミルベマイシンDは猫回虫と猫鉤虫の駆除に有効に用いることができると結論された.