著者
深瀬 徹 簗川 堅治 高橋 ゆう 吉村 晶子
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.S5-S8, 2022 (Released:2022-08-07)
参考文献数
11

山形県蔵王温泉で,2022年6月5日から7月2日にかけてジョウビタキの巣とそこから巣立った3羽のヒナを観察した.当地では2015年夏まで日本野鳥の会山形県支部の探鳥会が実施されていたが,繁殖期のジョウビタキの観察記録はなく,近年になってから,ジョウビタキが繁殖するようになったものと考えられた.
著者
深瀬 徹 板垣 博
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.783-787, 1988-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
24

カルバメート系の殺虫薬であるプロポクスル (propoxur) の1%(w/w) 散剤について, 犬へ強制経取投与した場合の安全性を検討した. 供試犬16頭を1群4頭の4群にわけ, それぞれ, 無投薬対照群, プロポクスル5mg/kg投与群, 10mg/kg投与群, 20mg/kg投与群とし, 薬剤投与1週間前から投与後3週間にわたって, 各犬の一般臨床所見の観察と種々の血液学的, 血液化学的検査を実施した. その結果, プロボクスルの投与に起因すると思われる所見として, 赤血球数, 白血球数, 血小板数の減少と, ヘマトクリット値の低下, および血清α-アミラーゼ活性の上昇と, 血清コリンエステラーゼ活性の低下が認められたが, これらの変化は一過性のものであり, 投薬後1週間以内にすべて投薬前のレベルに回復した. このことから, プロポクスルの1%散剤は, 通常行われる20mg/kg程度の用量での散布では, 散布後に犬が経口的に薬剤を摂取したとしても, 重篤な副作用を発現することはないと考えられた
著者
深瀬 徹 中村 有加里
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.10-14, 2021-03-25 (Released:2022-03-25)
参考文献数
10

2017年6月に東京都内の住宅地の民家において大型の昆虫の生息を認めた。3個体を捕獲して外部形態を観察した結果,本来はマダガスカルに生息するGromphadorhina属ゴキブリの雌1個体と雄2個体であった。これらの3個体を1年にわたって飼育し,2世代を得た。また,同年7月から本家屋の内部と外部に粘着シートを用いたゴキブリ駆除器を設置したところ,9月までに家屋内と屋外でそれぞれ4個体,計8個体を捕獲したが,それ以降は2019年12月に至るまで本種は認められなくなり,完全に駆除されたか,あるいは2017-2018年の冬期に低温のために死滅したことが示された。Gromphadorhina属ゴキブリは,日本においてペット用,または爬虫類等のペットの餌用として広く飼育および繁殖が行われており,そうした飼育場からの逸出あるいは意図的な遺棄があり,それがこの民家に侵入したものと推察した。熱帯に生息するゴキブリ類が日本に定着しうるかは明らかではないが,保温性の高い住環境にあっては,それらの食性を満たす餌が存在する場合には定着の可能性もあると考えるべきであり,外国産ゴキブリの逸走や遺棄を防止するための啓発が必要である。
著者
深瀬 徹
出版者
特定非営利活動法人バードリサーチ
雑誌
Bird Research (ISSN:18801587)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.S9-S11, 2021 (Released:2021-03-22)
参考文献数
3

2020年11月に宮城県仙台市でツバメの繁殖が観察された。近年秋期のツバメの繁殖が記録されるようになったが,この記録は現時点で最北の秋期の繁殖記録と思われる.
著者
深瀬 徹
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.103-107, 2007-12-20 (Released:2008-11-12)
参考文献数
5

2001年から2005年の期間に犬糸状虫症予防薬の不適切な投与を受けた犬5頭に犬糸状虫成虫の寄生が認められた。その要因を検討したところ,第1例は,2001年6月から8月にミルベマイシン オキシムの錠剤,11月と12月にモキシデクチンの錠剤の投与を受けたが,9月と10月には予防薬が投与されていなかった。また,第2例は,2001年9月から12月までイベルメクチンのチュアブル製剤が投与されたが,8月までは投薬が行われていなかった。この2例では,投薬期間が不適切であったために成虫の寄生を受けたと考えられた。一方,第3例では,2003年の6月から12月までイベルメクチンのチュアブル製剤が投与されていたが,この犬は8月と9月の投薬時に下痢を発症しており,消化管からの薬物の吸収が不良であったことが推察された。第4例は,2004年6月から12月までイベルメクチンのスポットオン用滴下式液剤が投与されたが、飼い主が犬の被毛を分けて投薬を行わなかったため,被毛から薬液が飛散し,十分な経皮吸収が行われなかったことが疑われた。第5例は,2005年6月から12月までモキシデクチンの錠剤が投与されたが,この間に犬の体サイズが著しく増加したにもかかわらず,6月の際の体重にもとづいて投薬を継続したため,必要な用量の有効成分が投与されなかったものである。犬糸状虫症予防薬を処方および投与する際には,以上のような種々の点について考慮し,加えてクライアントエデュケーションを十分に行うことが重要であると考えられた。
著者
深瀬 徹
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.125-129, 2006

蚊の吸血の防止法を確立するための基礎的検討として,ヘアレスラット(HWY/Slc,雄,4週齢)24個体を1群6個体の4群に分け,無処置対照群,ペルメトリン100mg/kgプアオン投与群,フィプロニル7mg/kgスポットオン投与群,イミダクロプリド10mg/kgスポットオン投与群とし,それぞれの投薬を行った。その後,各ラットを1個体ずつケージに収容し,そのケージを主にアカイエカが大量に発生している環境に設置して30分間にわたり蚊の飛来と吸血の状況を観察した結果,無処置対照群とフィプロニル投与群,イミダクロプリド投与群のラットは多数の蚊による吸血を受けたが,ペルメトリン投与群のラットから吸血を行った蚊の数は有意(p<0.05)に少ないことが確認された。次いで,ラットにおいて効果が認められたペルメトリンを同一用量でプアオン投与した犬と猫を同一環境に係留したところ,蚊の吸血を防止することが可能であった。
著者
深瀬 徹 尹 利根 茅根 士郎 秋浜 澄行 板垣 博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.817-821, 1991-10-15

猫に寄生する猫回虫Toxocara catiおよび猫鉤虫Ancylostoma tu baeformeに対するミルベマイシンDの駆虫効果について検討した. 各々の線虫の自然感染を受けている猫12頭ずつを1群6頭の2群に分け, ミルベマイシンDを0.05mg/kgと0.1mg/kgの用量で経口投与した. その結果, 猫回虫感染猫においては2つの試験群の全例で虫卵が陰転し, 糞便中へ2〜35隻の虫体の排出が認められた. これらの猫を剖検したところ, いずれの群においても, 各4頭には虫体の残存はみられず, 他の2頭から1隻と2隻の幼若虫体が検出された. 一方, 猫鉤虫感染猫では, 投薬群2群の全例において, 虫卵の陰転と糞便中への2〜62隻の虫体の排出が認められ, 剖検時に虫体の残存がみられたものはなかった. 以上の成績から, ミルベマイシンDは猫回虫と猫鉤虫の駆除に有効に用いることができると結論された.
著者
林屋 早苗 中村 有加里 林屋 牧男 深瀬 徹
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.93-98, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
9
被引用文献数
1 3

イミダクロプリド製剤を繰り返して投与しても十分に駆除することができなかった犬寄生のノミについて検討した。この症例から採取したノミはネコノミ Ctenocephalides felisと同定された。また,他の犬から採取したネコノミ3分離株を対照として,イミダクロプリドとフィプロニルに対する感受性を in vitroにおいてノックダウン試験により検討した結果,本症例に寄生していたノミはイミダクロプリドに対して低感受性を示すことが確認された。これにもとづき,フィプロニルを有効成分とする滴下投与用液剤による駆除を試みたところ,ノミを完全に駆除することが可能であった。
著者
深瀬 徹
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-6, 2007 (Released:2008-02-07)
参考文献数
18

1985年と1990年,1995年,2000年,2005年のそれぞれの年に,東京都およびそれに隣接する埼玉県,千葉県,神奈川県の諸地域,とくに市街地において,路上に放置されていた犬のものと考えられる糞便を50検体ずつ採取し,寄生虫の検査を行った。その結果,原虫ではコクシジウム類のオーシスト,条虫ではマンソン裂頭条虫の虫卵と瓜実条虫の片節,線虫では猫糞線虫と犬鉤虫,犬小回虫,犬回虫,犬鞭虫のそれぞれの虫卵が検出された。これらの寄生虫の検出率は年の経過とともに低下を示したが,瓜実条虫と犬回虫のように比較的高い検出率が保たれているものもあり,路上に犬の糞便を放置すると寄生虫の感染源となる可能性があることが示された。