著者
秋葉 崇 小川 明宏 寺山 圭一郎 土谷 あかり 中川 晃一 榊原 隆次 丸岡 弘
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.695-699, 2017 (Released:2017-10-23)
参考文献数
16
被引用文献数
2

〔目的〕足関節底背屈運動が血行動態と自律神経系に与える影響を検討し,起立性低血圧の対処法としての一助とすること.〔対象と方法〕対象は健常男性8人(年齢28.8 ± 5.3歳)とした.プロトコルは,5分間の安静座位の後,1分間の足関節底背屈運動を行い,再度5分間の安静座位を保持した.その間,循環動態と自律神経の反応を評価した.〔結果〕心拍数,一回拍出量,心拍出量は,安静時の値と比較して,足関節底背屈運動中の値が有意に高値を示した.また,その効果は運動後1分まで持続した.LF/HF,HFなどの自律神経系の反応は,有意な変化が認められなかった.〔結語〕足関節底背屈運動の即時効果が認められ,その効果は1分程度持続した.足関節底背屈運動が,起立直後の血圧低下を回避する方法としての一助となる可能性が示唆された.
著者
寺山 圭一郎 小川 明宏 秋葉 崇
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第30回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.6, 2011 (Released:2011-08-03)

【目的】パーキンソン病の歩行障害のうち、すくみ足の改善に対しての報告を目にすることはあるが、小刻み歩行の改善に対しての報告は少ない。パーキンソン病での歩行は健常人の歩行と比較して、左右への重心移動が少なく、この結果、振り出しが困難となっている。今回、小刻み歩行を改善するために、重心の左右移動を大きくすることを目的として横歩きによるアプローチを行った。 【対象】当院神経内科に検査目的で入院もしくは外来通院中のパーキンソン病患者6例。男性3例、女性3例。平均年齢75±8.9歳。Yahr分類はIIが3例、IIIが3例で、歩行は自立しているものの、小刻み歩行が認められる症例。なお、全例に対して、本研究の趣旨を説明し本人に同意を得た。 【方法】特に指示はせず、5mの快適歩行を2回実施。この時間と歩数を計測。同時にビデオで撮影。その後、平行棒内で3往復の横歩きを実施。この際、(1)真横になるべく大きく足を出すように。(2)下を向かず、前を向いてなるべく遠くを見るように。とだけ口頭にて指示をした。横歩き後、再度、5mの快適歩行を実施。この時の時間と歩数を計測し、ビデオで撮影。撮影したビデオから動作解析ソフトPV Studio 2Dを用いて、5mの中央付近の任意の一歩の歩幅とその身長比を計測。それぞれを横歩き前後で比較。対応のあるt検定にて統計処理を行った。 【結果】横歩き後、歩行時間は平均8.59±3.10秒から7.20±2.37秒、歩数は平均15.3±4.55歩から13.0±3.85秒に減少、歩幅は平均0.31±0.09mから0.37±0.10mと増大が認められた。また、歩幅/身長も平均0.20±0.05から0.23±0.06と、全てにおいて横歩き後で有意に改善していた(p<0.05)。 【考察】パーキンソン病患者の歩行は、脊柱起立筋において持続性の高い筋活動が認められ、体幹が棒状となっているために、重心の左右移動が小さくなっている。さらに、重心の後方への偏移が特徴的で、前傾姿勢により重心を随意的に前方に移動させ、歩行における下肢のステップを維持するための代償として小刻み歩行が認められる。また、前傾姿勢により骨盤回旋が少ないことも歩幅が短くなる要因として挙げられる。横歩き動作では、下肢を横に大きく出すために、体幹の伸展、側屈を伴った一側下肢への十分な体重移動が必要となり、結果として重心の左右移動が大きくなったと考えられる。また、体幹を伸展位に保つことで、体幹の可動性が向上し、回旋要素が出現したことで歩幅が大きくなったと考えられる。