- 著者
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秋葉 節夫
- 出版者
- 東北社会学研究会
- 雑誌
- 社会学研究 (ISSN:05597099)
- 巻号頁・発行日
- vol.100, pp.39-60, 2017-09-14 (Released:2021-12-12)
- 参考文献数
- 21
本稿では、山形県酒田市北平田地区における農事組合法人「ファーム北平田」設立までの経緯を明らかにするとともに、同法人の事業内容を明らかにすることで、「集落営農」が東北地方における農業の担い手のあり方のひとつとしての重要性が高まってきていることを明らかにする。同法人の設立の契機には、「品目横断的経営所得安定対策」への対応があったのであるが、同時に、庄内地域においても、近年の米価下落や後継者不足などに対応するために、農業の担い手自らが「地域農業」について考えざるを得ないという状況にあったことが影響している。具体的には、認定農業者などの大中規模層が多く参加する場合の個別経営への配慮から「枝番管理方式」が採用され、他方では、「経営所得安定対策」の提示から実施までの期間が短かったために、体制を充分に整えるところまではいっていないが、いずれにせよ、事例で検討した「集落営農」の形態が必然的に選択されてきているのである。