著者
種子島 智彦 池田 信昭 井上 雄介 相原 道子
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.207-210, 2014-03-01

要約 26歳,男性.5年前より口唇に疼痛を伴う水疱形成を繰り返していた.2008年8月中旬,左口唇に小水疱が出現した.近医にて口唇ヘルペスを疑われバラシクロビルを処方されたが改善しなかったため,当科を受診した.肛門,亀頭部にもびらんがみられTzanckテストを施行したが陰性であった.その後,自然軽快した.以後2回ほど同様の皮疹が出現し,下顎,両手背に有痛性の紅斑も出現するようになったが自然軽快した.2011年4月中旬,同症状が再度出現し,詳細な問診の結果,トニックウォーターを含むカクテルの摂取後に症状が出現していたことが明らかになった.ジントニック1杯に含まれるトニックウォーターの半量(60ml)による誘発試験を施行したところ,摂取2時間後に症状が出現し,トニックウォーターによる固定疹と診断した.薬剤内服歴のない若年者に同部位に繰り返す皮疹を認めた場合,トニックウォーターによる固定疹も鑑別に挙げることが重要であると考えた.