著者
髙橋 沙希 和田 秀文 白田 阿美子 渡邊 友也 蒲原 毅 向井 佑希 小池 泉 相原 道子
出版者
日本皮膚悪性腫瘍学会
雑誌
Skin Cancer (ISSN:09153535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.179-184, 2019 (Released:2019-02-28)
参考文献数
18

症例1:66歳,男性。26歳時に菌状息肉症と診断されるも通院を中断。65歳時より紅斑が隆起しエトレチナート内服と紫外線照射を開始したが改善乏しく当科を受診。顔面と上肢に結節,潰瘍があり閉眼困難な状態。症例2:66歳,男性。21歳時に乾癬と診断。ステロイド外用・内服治療したが,緑内障を契機に中断。61歳時に体幹の皮疹が隆起し,潰瘍を形成し当科を受診。2例とも菌状息肉症腫瘍期と診断。低用量エトポシド内服と腫瘤病変への局所電子線照射の併用で潰瘍・腫瘤は数ヵ月で上皮化・平坦化した。治療に伴う重大な副作用は認めず,比較的短期間で患者のQOL向上を得た。近年,菌状息肉症に対する複数の新規治療薬が本邦でも発売され全身療法の選択肢が広がりつつある。一方でエトポシドのような古典的な抗癌剤でも電子線との併用で本報告のように著効が期待できる症例もある。併用療法が効果を示す機序はまだ不明であり,今後,症例数を蓄積する必要があると考える。
著者
渡邉 裕子 蒲原 毅 佐野 沙織 白田 阿美子 小野田 雅仁 池澤 善郎 相原 道子
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.122, no.9, pp.2321-2327, 2012

58歳,男性.25歳時に尋常性乾癬が発症し,33歳時に霧視の自覚と共に非肉芽腫性前部ぶどう膜炎がみられ乾癬性ぶどう膜炎と診断された.シクロスポリン内服で加療されたが治療に難渋し,58歳時に膿疱性乾癬が発症した.シクロスポリンを中止しインフリキシマブを開始後,皮膚症状と共に眼症状の著明な改善が得られた.再発性,難治性の乾癬性ぶどう膜炎に対しインフリキシマブは有効な治療法と考えられた.自験例および本邦における乾癬性ぶどう膜炎のまとめでは,初発症状は,視力低下が最も多く,次いで霧視,充血,眼痛の順に多くみられた.ぶどう膜炎発症時の乾癬の臨床病型は,関節症性乾癬が31例中13例(42%)と最も多く,次いで尋常性乾癬が31例中10例(32%),膿疱性乾癬が31例中7例(23%)であった.乾癬性ぶどう膜炎患者の25例中23例(92%)で関節症状がみられ,23例中22例(96%)でHLA-A2がみられた.ぶどう膜炎に対し皮疹出現の先行例が約90%にみられ,皮疹出現から長期経過後にぶどう膜炎が生じている例が多かった.関節症状とHLA-A2を有する乾癬では,ぶどう膜炎を合併する危険性があり注意が必要と考えられた.