- 著者
-
稲垣 喜三
- 出版者
- 日本臨床麻酔学会
- 雑誌
- 日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.5, pp.674-680, 2017-09-15 (Released:2017-10-20)
- 参考文献数
- 5
麻酔科術前診察では,感染症のスクリーニングとして,梅毒やB型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルスの血中抗原や抗体価を検査している.施設によっては,ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のスクリーニングも実施し,術中・術後の患者および医療従事者の感染予防に役立てている.成人では,メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やクロストリジウムディフィシル腸炎(CDI)の感染の発見と予防が,その後の創部感染や院内感染の防止に繋がる.小児では,年齢によって発症しやすい感染症が存在する.術前診察では,発疹や上気道症状,消化器症状の既往を注意深く問診し,診察による理学的所見を的確に取ることが求められる.不活化ワクチン接種から手術までの期間は2日間で,生ワクチンの接種から手術までの期間は21日間である.手術後の予防接種は,少なくとも術後7日間以上の間隔を空けて実施する.