- 著者
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吉矢 生人
中田 英昭
真下 節
稲垣 喜三
- 出版者
- 大阪大学
- 雑誌
- 試験研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1991
平成4年度の研究では、作成したストレス反応モニタシステムを用いて麻酔中の皮膚切開に伴う皮膚組織血流量の一過性低下反応出現の有無を調べ、各麻酔薬のMAC BAR(MAC that blocked the adrenergicresponse)を求めた。同時に血行動態と血中ノルエピネフリン濃度を経時的に測定し、皮膚組織血流の一過性低下反応が侵害刺激に対する交感神経反応を反映するかどうかを検索した。対象は65名のASA分類I-II度の予定手術患者で、無作為にハロセン(H群N=17)、エンフルレン(E群N=14)、イソフルレン(I群N=16)およびセボフルレン(S群N=18)単独麻酔の4群に分けて調べた。皮膚切開に伴う一過性低下反応出現の有無によって、Dixonのup-and-down法にしたがってMAC BARを求めた。得られたMAC BAR値は、ハロセン1.35%(1.75MAC)、エンフルレン2.25%(1.34MAC)、イソフルレン2.01%(1.75MAC)、セボフルレン2.77%(1.62MAC)であった。ハロセン、イソフルレンおよびセボフルレンでは近似したMAC値であったが、エンフルレンでは他の麻酔薬に比べてかなり小さな値となった。一方、皮膚切開前後のRPP(rate pressure product)の増加は4群共に一過性低下反応が出現した症例群で出現しなかった症例群に比べて大きいかまたは大きい傾向がみられた。また、4群共に、皮膚切開前後の血漿ノルエピネフリン濃度の増加の程度も、一過性低下反応が出現した症例群で出現しない症例群よりも大きいかまたはその傾向がみられた。以上の結果から、皮膚組織血流の一過性低下反応は侵害刺激に対する交感神経反応を反映していると結論した。本研究において作成したレーザー・ドプラー組織血流量計を用いたストレス反応モニタシステムは麻酔中のストレスに対する交感神経反応モニタとして臨床的に有用であると考えられる。