著者
猪子 誠人 稲垣 昌樹
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.524-533, 2013-08-01 (Released:2014-08-01)
参考文献数
46
被引用文献数
1

一次線毛(primary cilia)は細胞膜上に生じる小さな不動性の突起物である.しかし一次線毛には細胞増殖を休止させる作用があり,増殖中はつとめてその組立が抑えられていることが培養細胞実験からわかってきた.この新たな仕組みの一つが,われわれの報告したトリコプレイン・オーロラAキナーゼ経路である.さらに一次線毛は,細胞種によっては多彩な機能をもつ.本稿では,一次線毛による新たな細胞増殖制御機構に重点を置きつつ,これまでの関連事項についても概説する.
著者
岸本 健雄 佐方 功幸 稲垣 昌樹 竹内 隆 浅島 誠 山本 雅 正井 久雄
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

特定領域研究「細胞周期フロンティア-増殖と分化相関」(細胞増殖制御)は、平成19年度から5ヶ年計画で発足し、平成23年度末で終了を迎えた。本研究では、この特定領域研究の総括班業務を引き継ぎ、以下のように、領域終了にあたって領域としての研究成果をとりまとめ、その公開をはかった。(1)「研究成果報告書」を、全班員(前期あるいは後期だけの公募班員や途中辞退者も含む、総計91名)をカバーした冊子体で作成した。本報告書は8章からなり、領域としての研究成果の概要だけでなく、各班員毎の研究成果の概要も掲載し、総頁数456頁の冊子となった。班員、関連研究者、文科省等に配付した。(2)公開の領域終了シンポジウム「細胞増殖制御」を、平成24年8月30、31の両日、東京工業大学・蔵前会館(目黒区大岡山)で開催した。領域メンバーのうち、前後両期の参画者を中心として31名が講演発表した。参加者総数は約100名で、評価委員も出席した。領域としての主な研究成果を、概観できるシンポジウムとなった。(3)領域の終了に伴う事後評価のためのヒアリングを、平成24年9月12日に文部科学省で受けた。後日、評価結果は「A」(研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの成果があった)であるとの通知が届いた。(4)領域ホームページで、上記の公開シンポジウムもアナウンスし、領域としての成果を発信した。これらにより、本領域の設定によって得られた研究成果を周知するとともに、領域メンバー間の有機的な連携を再確認し、細胞周期制御関連分野の研究の今後の発展に資することができた。