著者
岸本 健雄
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.157-167, 1986-07-25 (Released:2009-05-25)
参考文献数
69

Maturation-promoting factor (MPF) is a cytoplasmic factor that is capable of inducing a maturation response involving nuclear envelope breakdown, chromosome condensation and spindle formation when microinjected into immature oocytes. MPF activity is found in a wide variety of eukaryotic cells at M-phase, such as mitotically dividing cells as well as maturing oocytes. MPF acts non-species-specifically among the animal kingdom. MPF has been partially purified and characterized as a heatlabile protein with a molecular size of approx. 5s. MPF activity oscillates with the same period as the cell cycle, with peaks during metaphase. MPF has the ability to amplify itself by activating its precursor, which is stored in fully grown oocytes. But replenishing MPF after its fall during cell cycle requires protein synthesis. MPF can cause nuclear envelope breakdown and chromosome condensation in vitro with isolated nuclei. Such cell-free system requires the cytoplasmic component extracted from eggs in addition to MPF. Further, MPF dissociates the junction between oocyte surface and surrounding follicle cells. Thus, MPF seems to act directly not on nucleus but on cytoplasm. Taken together, MPF might more generally be described as "metaphase-promoting factor" rather than a maturation-promoting factor.
著者
岸本 健雄 佐方 功幸 稲垣 昌樹 竹内 隆 浅島 誠 山本 雅 正井 久雄
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

特定領域研究「細胞周期フロンティア-増殖と分化相関」(細胞増殖制御)は、平成19年度から5ヶ年計画で発足し、平成23年度末で終了を迎えた。本研究では、この特定領域研究の総括班業務を引き継ぎ、以下のように、領域終了にあたって領域としての研究成果をとりまとめ、その公開をはかった。(1)「研究成果報告書」を、全班員(前期あるいは後期だけの公募班員や途中辞退者も含む、総計91名)をカバーした冊子体で作成した。本報告書は8章からなり、領域としての研究成果の概要だけでなく、各班員毎の研究成果の概要も掲載し、総頁数456頁の冊子となった。班員、関連研究者、文科省等に配付した。(2)公開の領域終了シンポジウム「細胞増殖制御」を、平成24年8月30、31の両日、東京工業大学・蔵前会館(目黒区大岡山)で開催した。領域メンバーのうち、前後両期の参画者を中心として31名が講演発表した。参加者総数は約100名で、評価委員も出席した。領域としての主な研究成果を、概観できるシンポジウムとなった。(3)領域の終了に伴う事後評価のためのヒアリングを、平成24年9月12日に文部科学省で受けた。後日、評価結果は「A」(研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの成果があった)であるとの通知が届いた。(4)領域ホームページで、上記の公開シンポジウムもアナウンスし、領域としての成果を発信した。これらにより、本領域の設定によって得られた研究成果を周知するとともに、領域メンバー間の有機的な連携を再確認し、細胞周期制御関連分野の研究の今後の発展に資することができた。
著者
岸本 健雄 立花 和則
出版者
東京工業大学
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2000

テラトーマなどの胚細胞性腫瘍は胚性がん腫細胞に由来し、これは受精によらない胚細胞の増殖、つまり単為発生に起因している。本研究の目的は、Mosが単為発生を抑制し、その結果として胚性がん腫細胞の形成を抑制する機構の解明である。これらの抑制は、卵母細胞においてMosが減数第二分裂を成立させ、かつその後に細胞周期の進行を停止させるのによることを、筆者らの最近の研究は示している。それらの分子機構について、ヒトデ卵を用いた本研究により、以下の点が判明した。1.Mosが減数第一/第二分裂移行をもたらす機構については、Mos-MAPキナーゼ経路の下流にPlk(pdo-likekinase)が介在すると判明した。PlkはCdc25活性の維持よりはむしろMyt1の抑制維持に関わり、それによってCdc2キナーゼの速やかな活性化をもたらし、その結果、M/M期移行が成立する。この際、Mos-MAPKからPlk活性の維持に至るには、蛋白質合成を必要とする。他方、PlkはMyt1を直接リン酸化できるが、それが活性抑制に関わっているかどうかは、現在検討中である。2.減数第二分裂後のG1期停止の機構を解明する手掛かりとして、G1期での停止状態、つまり、成熟未受精卵ではDNA複製開始装置はどのような状態にあるのかを解析した。その結果、G1期に停止した成熟未受精卵では、Mcm2は未だMcm7と結合しているにもかかわらず、その後のDNA複製の開始にはサイクリンE-CDK2を必要としないことが判明した。これらの事実は、受精後のDNA複製開始は、通常の体細胞におけるDNA復製開始(サイクリンE-CDK2を必須とする)とは全く異なった様式による可能性を示唆している。こうしたS期開始の抑制にMos-MAPキナーゼ経路がいかに関わっているかを、現在解析中である。