著者
工藤 真哉 対馬 伸晃 澤田 善章 斎藤 文匡 本村 文一 高島 徹 古川 利有 鈴木 唯司 黒滝 日出一 増森 二良 渡辺 耕平 稲積 秀一
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.1594-1602, 1991-10-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
15
被引用文献数
2 2

1983年10月より1989年6月までの間に弘前大学泌尿器科で膀胱移行上皮癌と診断定れ, BCG膀胱内注入療法をうけた120症例における副作用をまとめるとともに, 重篤な合併症とBCG投与との関連性について検討を加えた. 局所的には, 頻尿, 排尿痛などの膀胱刺激症状が102例 (85.0%), 血膿尿が46例 (38.3%) だった. 全身的には, 発熱が43例 (35.8%), 血清GOT, GPT値異常が9例 (7.5%), 全身倦怠感が3例 (2.5%) だった. 重篤な合併症としては, 膀胱容量が50ml以下の高度萎縮膀胱が4例に, 難治性関節炎が2例に, 間質性肺炎が1例に認められた. 高度萎縮膀胱の4例ともに, BCG膀注前後に膀胱部分切除術を施行定れており, 3例はBCG膀注回数が10回以上であった. 低膀胱容量状態に加え, BCG膀注回数が多いことが萎縮膀胱の誘因となることが推. 定れた. また, 4例中2例は非可逆性であり, 組織学的には, 筋層の線維化がより高度であったが, 結核性変化は認めず, 可逆性か否かは線維化の程度により決まると思われた. 難治性関節炎の2例ともに, 関節穿刺液の結核菌培養は陰性で, 非特異的炎症反応だった. 重篤な間質性肺炎の1例は, 気管支鏡生検組織において, 肺胞中隔の著明な線維化とリンパ球浸潤を認めたが, 結核性変化は認めず, BCGに対する過敏性反応が病因であると考えられた.
著者
工藤 誠治 稲積 秀一 鈴木 唯司 森田 秀 高橋 信好
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.80, no.7, pp.1063-1066, 1989-07-20

患者は,28歳の男性で,1987年10月,腰痛を主訴に,某医受診し,精査目的にて同年11月11日,当院紹介入院となった.入院時の検査成績では,著明な腎機能低下が認められた他,超音波検査並びに,胃部CT撮影にて,両側腎皮質の厚い石灰化が認められた.腎生検では,一部に骨髄細胞を伴った骨形成の病理所見が得られた.その後,外来にて経過観察中であったが,1988年6月3日,再入院となり,現在,血液透析施行中である.腎における異所性骨形成は,比較的稀な疾患であり,しかもこれまでの報告例は,全て片側腎に限られていた.今回,我々は,両側腎における異所骨形成を認め,同時に慢性腎不全を呈する1症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.両側腎における異所性骨形成は,我々の調べ得た限りでは本邦での他の文献発表は,認めなかった.