著者
三浦 均也 前田 健一 窪内 篤 菅野 高弘 大塚 夏彦
出版者
豊橋技術科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、港湾地域における岸壁等の施設の耐震性能を高度化することであり、地震時における地震時土圧の特性を明らかにし、より合理的で経済的な地震時土圧の評価法および耐震設計法を開発することである。この目的を達成するために、北海道釧路港で実施していた「実大重力式岸壁の地震時挙動観測」で得られるデータの収集、分析・評価を進め、地盤の液状化に関連した岸壁の被害メカニズムを明らかにするとともに耐震設計の提案を行った。研究成果の概要および特徴は以下の通りである。「研究の独創性」 阪神淡路大震災で生じた港湾施設の甚大な被害に対して、これまでの耐震設計の枠組みの中で設計地震衝撃力を増大させ構造物が長大化させる考え方が主流であった。しかし、本研究ではこれまでの震度法にとらわれない。構造物の振動特性と液状化対策の効果を適切に反映できる独創的な地震時土圧評価法および耐震設計法を提案し、その検証を観測結果に基づいて検証することができた。「研究の実用化の可能性」 2003年十勝沖地震における観測結果を解析することによって、地震時における岸壁の挙動メカニズムが明らかになり、提案していた地震時土圧の評価法も検証することができた。現在をこの評価法を取り入れた耐震設計法の開発を終え、1年以内に行われる港湾構造物の耐震設計法の改訂という形で研究の成果が実用化されることになった。また、試験岸壁の建設時や建設後長期間に渡る観測においても岸壁挙動の重要な知見が得られ、これらは岸壁の施工管理や維持管理において今後実用化される予定である。「研究の達成度」 当初予定していた現地観測と耐震設計法の開発を予定通り達成することができた。2004年9月26日には十勝沖地震が発生し試験岸壁は震度5強の衝撃力を受けた。試験岸壁の背後地盤は液状化し、岸壁には地震時特有の変形が生じ機能が深刻な損傷を受けた。地震衝撃力による液状化を伴う岸壁の被害を観測によって捕らえることに成功したため、観測結果の解析と耐震設計法の検証は説得力を持って予定通り達成することができた。「研究の学問的発展への貢献度」 このような実大岸壁の背後地盤の液状化を伴う地震時挙動を得たのは世界的にも初めてである。地震時挙動の観測によって得られたデータは、2005年1月17日から1年間インターネットで世界の研究者に公開している。このデータを用いた研究成果を持ち寄り2005年9月には国際会議を開催する予定であり、この分野の学問的発展に大きく寄与するものと期待している。また、このような前例のない観測を通じて観測方法や試験方法についても重要な知見を得ることができた。
著者
本間 大輔 窪内 篤 山本 泰司 畑山 朗 木村 克俊
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.927-932, 2005 (Released:2011-06-27)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

On September 8, 2004, Typhoon No.0418 (Typhoon Songda) moved north along the western coast of Hokkaido, bringing high winds to wide areas in the storm zone. Omori Bridge, a 429-m-long I-girder bridge on National Highway 229, suffered the collapse of a 159-m-long section. The bridge spanned a reef that is surrounded by wave-dissipating blocks on the seaward side and precipices on the landward side. On the day of the collapse, waves were extremely high and winds were strong, and abnormal tide levels were attributed to the effect of the local topography. In this research, hydraulic model tests were performed to study the damage mechanism of the bridge and the wave forces that acted on it, in order to assess the safety of the truss bridge that will be erected for temporary restoration. The splash patterns were also examined to determine the conditions under which vehicles can safely run after the restoration.
著者
窪内 篤 関口 信一郎
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
海洋開発論文集 (ISSN:09127348)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.7-12, 2005 (Released:2011-06-27)
参考文献数
16

The HIROI formula, which estimates the wave forces, has been used in breakwater design for many years. As far as the authors know, significant wave height has been used for the HIROI formula in the past. The time when the formula was presented, however, was long before emergence of the concept of significant wave height. We verified the process of derivation of the formula by tracing back to the paper in which Dr. HIROI first presented the formula, studied the changes in wave height used for the formula and investigated the history of changes in the shape of breakwaters.As a result, we found that the highest wave height must be used for the HIROI formula, and that changes in breakwater structure existed behind the use of significant wave height in the formula.
著者
窪内 篤
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.39-49, 1993

小樽港勝納ふ頭において, 既設-12m岸壁を-13m岸壁へと増深改良を行う再開発事業の実施にあたって, 内面リブ付き鋼管ぐいを用いたコンクリート充填鋼管ぐいを横さん橋形式に採用し, その施工をケーシングドライブ工法との組合せによって行った。本報告ではこの再開発事業に至った経緯を含め, 新たな試みであったこの工事の施工法について紹介し, 併せて同時に行った調査結果について報告する。