著者
増田 卓也 萩原 彰人 丸山 晃央 寺澤 佳洋 友岡 清秀 竹下 有
出版者
一般社団法人 日本病院総合診療医学会
雑誌
日本病院総合診療医学会雑誌 (ISSN:21858136)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.367-373, 2023-09-30 (Released:2023-11-11)

近年,鍼灸治療の作用機序や治療効果のエビデンスが得られてきたが,日本は欧米と比較し医療機関における鍼灸治療の提供は普及しておらず,その適応や治療効果の認識も充分に浸透していない。また治療を依頼する鍼灸院との連携システムが未確立であり,適応であるにも関わらず治療の機会を失っている患者が多い。一 方で,鍼灸院へ通院している患者の一部には重大疾患が隠されているリスクが懸念されるも医療機関への紹介基準や紹介先の選定が困難であるという課題がある。それゆえこれらのミスマッチや見逃しのリスクを解消すべく,病院と鍼灸院の連携システム(病鍼連携)の確立が急務であると考えられる。そのためには,医師への鍼灸治療に関する教育や鍼灸治療の適応基準の明確化,連携可能な病院や鍼灸院の所在及び専門性が明確化されたネットワークの構築,鍼灸師への診断学を含めた臨床教育の場の構築, 医師と鍼灸師の積極的な交流が必要となる。
著者
金森 岳広 竹下 有美枝 御簾 博文 加藤 健一郎 太田 嗣人 金子 周一 篁 俊成
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.803-808, 2012 (Released:2012-11-16)
参考文献数
16

症例はCMT病の48歳,男性.45歳時から口渇・多飲多尿を認め,46歳時の検診でHbA1c 10.8 %(NGSP)を認めた.当科に第一回入院時,身体所見で内臓脂肪型肥満(体重84 kg, BMI 28.1 kg/m2,腹囲101 cm)と四肢遠位部の筋萎縮を認め,高インスリン正常血糖クランプ検査はMCR 4.38 ml/kg/分と末梢組織における高度のインスリン抵抗性を示した.また,肝生検にて肝線維化を伴う非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断した.食事・運動療法とインスリン療法を開始し,1年半の外来経過中に19.6 kgの減量(体重64.4 kg, BMI 21.8 kg/m2,腹囲75.5 cm)に成功し,HbA1c 5 %台の良好な血糖コントロールを得た.第二回入院時にMCR 6.86 ml/kg/分とインスリン抵抗性の著明な改善を認め,肝生検ではNAFLDの所見が消失した.CMT病合併糖尿病も肥満を伴う症例では,食事・運動療法による減量がインスリン抵抗性の改善と血糖コントロールに有効と考えられた.