著者
米田 誠 篁 俊成 樋口 理
出版者
福井県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

“橋本脳症”は,慢性甲状腺炎に伴う自己免疫性疾患であり,免疫治療が奏効する.申請者らは患者血清中の分子診断マーカーとして抗N末端αエノラーゼ(NAE)抗体を開発している.本研究では,生物発光を用いた免疫沈降法(LIPS法)による新規の自己抗体測定法を開発した. まず,NAE抗原とルシフェラーゼのキメラ組換え蛋白を調整した.次に,抗NAE抗体の陽性・陰性が既知の血清を用いて,生物発光を用いた免疫沈降法(luciferase immunoprecipitation systems;LIPS法)を行い,従来法(電気泳動)と比較した結果,同様の傾向が見出された.
著者
米田 誠 篁 俊成 栗山 勝
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

慢性甲状腺炎(橋本病)に伴い,自己免疫的機序で様々な精神・神経徴候を呈する疾患が橋本脳症として近年注目されている.本研究代表者らは,本疾患に特異的な診断マーカー(抗NAE抗体)を見出し,初めて血清による診断が可能となった.現在までに, 1350件以上の解析を行い,臨床・免疫学的特徴を明らかとし,早期診断と治療に寄与してきた.また,この抗体を含む血清や髄液が及ぼす小脳のシナプス伝達やプロテオーム(蛋白質)の変化などの病態を明らかとした.
著者
金森 岳広 竹下 有美枝 御簾 博文 加藤 健一郎 太田 嗣人 金子 周一 篁 俊成
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.10, pp.803-808, 2012 (Released:2012-11-16)
参考文献数
16

症例はCMT病の48歳,男性.45歳時から口渇・多飲多尿を認め,46歳時の検診でHbA1c 10.8 %(NGSP)を認めた.当科に第一回入院時,身体所見で内臓脂肪型肥満(体重84 kg, BMI 28.1 kg/m2,腹囲101 cm)と四肢遠位部の筋萎縮を認め,高インスリン正常血糖クランプ検査はMCR 4.38 ml/kg/分と末梢組織における高度のインスリン抵抗性を示した.また,肝生検にて肝線維化を伴う非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断した.食事・運動療法とインスリン療法を開始し,1年半の外来経過中に19.6 kgの減量(体重64.4 kg, BMI 21.8 kg/m2,腹囲75.5 cm)に成功し,HbA1c 5 %台の良好な血糖コントロールを得た.第二回入院時にMCR 6.86 ml/kg/分とインスリン抵抗性の著明な改善を認め,肝生検ではNAFLDの所見が消失した.CMT病合併糖尿病も肥満を伴う症例では,食事・運動療法による減量がインスリン抵抗性の改善と血糖コントロールに有効と考えられた.
著者
篁 俊成
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.20-23, 2016-01-30 (Released:2016-02-04)
参考文献数
17
被引用文献数
1
著者
篁 俊成 御簾 博文 金子 周一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.1670-1676, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
26

肝臓の脂肪化は肥満と独立してインスリン抵抗性と関連する.このことは日本人の糖尿病発症が肥満だけでは説明できず,軽度な肥満域から動脈硬化につながる代謝異常が増大することと関連する可能性がある.2型糖尿病に肥満症を伴った患者の肝臓では,解糖系,糖新生系,それらから派生するPentose phosphate cycle,中性脂肪合成系,脂肪酸合成・酸化系を構成する遺伝子群が協調的に発現亢進する.これらのプロファイルは糖・脂質由来の基質がミトコンドリアに流入することを示唆し,事実,ミトコンドリア酸化的リン酸化(OXPHOS)を構成する遺伝子群が活性酸素関連遺伝子群の発現とともに2型糖尿病患者,とりわけ肥満症を合併する患者の肝臓で,協調的に発現亢進する.2型糖尿病患者肝臓の包括的発現遺伝子解析から同定した新規ヘパトカイン「セレノプロテインP」は,抗酸化作用を有するにもかかわらず,一部にAMPキナーゼ活性の抑制を介して,全身のインスリン抵抗性を増大する.
著者
寺田 愛 安藤 仁 野川 麻紀 櫻井 勝 野原 えりか 山下 治久 早川 哲雄 宮本 謙一 小林 健一 篁 俊成
出版者
THE JAPAN DIABETES SOCIETY
雑誌
糖尿病 = Journal of the Japan Diabetes Society (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.463-467, 2003-06-30
被引用文献数
5

理想のインスリン注入器を追求する目的で, 新型タイマー式注入器の使用感や外観を従来の万年筆型注入器との対比において評価した. 当科通院中のインスリン使用糖尿病患者89人 (男性49人, 女性40人) に, アンケート調査を行った. タイマー式は単位の合わせやすさ (7896) や注入ボタンの押しやすさ (6296) など操作性が評価された (数値はタイマー式の支持率). 一方, 外観は形 (2896), めだたなさ (2996) と万年筆型が優っていた. これらを年代別に解析したところ, 操作性は各年代ともタイマー式を支持したが, 外観は若年層ほど有意に万年筆型を支持した, 今後使用したい注入器としては, 若年層ほど万年筆型を, 高齢層ほどタイマー式を選択し, 若年層では外観を, 高齢層では操作性を重視することが判明した. インスリン注入器に求める条件は年齢層によって異なり, タイマー式は高齢者が求める条件をより満たした注入器であることが明らかとなった.