- 著者
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藤本 麻里子
竹下 秀子
- 出版者
- 日本動物心理学会
- 雑誌
- 動物心理学研究 (ISSN:09168419)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.2, pp.61-71, 2007-12-25
- 被引用文献数
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1
本研究は,ニホンザル成体メス間のグルーミングが持続する要因を明らかにすることを目的とした。餌付け群である嵐山E群の成体メス10個体を対象に,個体追跡法により,グルーミングの開始から終了までを時系列に沿って観察した。その結果,グルーミングの開始から終了まで観察できた大半のエピソードで役割交代がなかった。一方,役割交代の回数が増えると持続時間が長くなる傾向があった。役割交代が何度も起こったエピソードでは,血縁個体間ではグルーマーがグルーミングをやめて,相手にお返しのグルーミングを催促して交代するやり方が二者間で連続して起こった。非血縁個体間では,グルーマーがグルーミングをやめる前に,グルーミーが自主的に相手にグルーミングしようとして交代するやり方が二者間で連続して起こった。ニホンザルは相手が血縁個体か非血縁個体かによって,役割交代時の行動を変化させていることが示唆された。