著者
竹中 慎二
出版者
Association of Behavioral Economics and Finance
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.150-154, 2011

グローバル化の進展や財政問題の深刻化により,汚職(corruption)の問題はその重要性が高まっている.しかし,実際の行動は観察困難であり,文化や経済成長との因果関係も決して明確でないため,研究対象になりにくいのが実情といえる.本論文はアジアの中でも汚職が最も深刻とされる国の1つである,フィリピンの個票データを主に分析することで,人々の汚職に対する許容度や意識を考察した.その結果によると,中等教育以上の教育を受けた人々は汚職への許容度が低く,さらに死後の世界といった神秘的な存在を信じる人(信仰心の強い人)ほど汚職の許容度が低いことが判明した.
著者
高阪 勇毅 Mardyla Grzegorz 竹中 慎二 筒井 義郎
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学
巻号頁・発行日
vol.5, pp.189-192, 2012

本論文は,気質効果の存在とその原因を経済実験によって調べた.本論文の特徴は次の3つである.第1に,現実の株式市場に似た取引環境を構築し,経済実験の環境下で現実の取引行動に近いデータを取得し,分析したことである.第2に,被験者の参照価格をアンケート調査から特定し,気質効果の存在を単独で検証していることである.第3に,損失局面と利得局面における各危険回避度を計測し,プロスペクト理論における損失回避が気質効果の原因の一つであることを検証したことである.