著者
須田 一幸 竹原 均
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.3-26, 2005-09-30 (Released:2018-12-07)
参考文献数
32
被引用文献数
1

本研究は,第1に,残余利益モデルと割引キャッシュフローモデルを用いてロング・ショート・ポートフォリオを構築し,ポートフォリオ・リターンの発生構造を分析する.ポートフォリオ・リターンの推移を月次で観察した結果,残余利益モデルに基づきロング・ショート・ポートフォリオを構築した場合,ポートフォリオの構築後6カ月間について大きなリターンを獲得できることが明らかになった.本研究は,第2に,残余利益モデルの推定と会計利益の質との関係を究明するため,ポートフォリオの構成企業が公表した会計利益における会計発生高と異常発牛高を分析した.その結果,残余利益モデルに基づいて作成したロング・ショート・ポートフォリオと,異常発生高によるロング・ショート・ポートフォリオにおけるリターンの間に,統計的に有意な関係が存在していることがわかった.さらに,異常発生高を計測し会計利益の質をコントロールした上で,残余利益モデルによる株式価値評価を実施すれば,株式価値評価の精度は向上するということが判明した.
著者
竹原 均
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.507-528, 2002 (Released:2017-06-27)
参考文献数
19

本研究ではダウンサイドリスクモデルのもとでの新たなマネージャー構造最適化モデルを提案する.論文ではまずWaring,Whitney,Pirone,Castilleにより提案されたモデルでの,収益率の正規性,マネージャー間の相関構造などの仮定が,実務上は不適切であることを株式投資信託の収益率を分析することにより示す.その上で既存のモデルでの問題点を解決するために,政策ポートフォリオからのショートフォールを考慮した最適化モデルと,リスク調整をダウンサイドリスクにより行う新しいパフォーマンス評価尺度を提案する.
著者
久保田 敬一 竹原 均
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.3-23, 2007-09-30 (Released:2018-12-07)
参考文献数
25
被引用文献数
1

本研究は,Fama and French[1993]で提案されたファクターモデルにおいて導入されたSMBファクター,およびHMLファクターを,米国実証研究における標準的方法に基づいて日本データについて測定し,その特性を検証するとともに,日本市場におけるFama-French3ファクターモデルの有効性,頑健性を再検証する.1977年9月から2006年8月までの29年間のデータを使用して新たに分析を行った結果,HMLファクターは,現在でも期待リターンと統計的に有意な相関関係を持つことが明らかとなった.またSMBファクターに関しては,小型株効果が長期で安定的ではないことを原因として,期待リターンとの関係も不安定であった.しかしながら,アセットプライシングの実証分析上,不要とは判断すべきでないことを示唆する証拠も主成分分析の結果から得た.次に我々はスタイル分析を実施することにより,証券会社が情報提供し,実務界で広く利用されているスタイルインデックスと,SMB,HMLファクター構築の過程で計算されるFama-French6ベンチマークの性質が大きく異なることを示した.この結果,スタイルインデックスを代用して計算した擬似SMB,HMLではなく,Fama/French[1993]において提案された方法に従ってSMB,HMLファクターを測定することが,実証研究結果の国際比較可能性を確保するための必要条件であることを最後に主張する.