著者
竹島 克典 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.158-168, 2013-06-30 (Released:2013-10-10)
参考文献数
25
被引用文献数
3 1

本研究は, 小学校において, 抑うつ症状を示す児童の仲間との社会的相互作用を行動観察し, その対人行動の特徴と機能的関係を検討することを目的とした。自己記入式の抑うつ評価尺度を用いて抽出した抑うつ症状を示す高学年児童10名について, 学校内の2つの場面で行動観察を実施し, 仲間との相互作用について低抑うつ児童10名との比較を行った。観察1では, 学校の休憩時間に抑うつ症状を示す児童の自然観察を行った。観察2では, グループの問題解決課題場面を設定し, 抑うつ症状を示す児童と仲間との相互作用を観察した。その結果, 抑うつ症状を示す児童は, 自然場面において孤立することが多く, 仲間との相互作用が少ないことが明らかになった。また, 観察2の結果から, 抑うつ症状を示す児童は, グループ場面においても孤立・引っ込み思案行動が多く, 仲間とのポジティブな行動のやり取りが少ないことが明らかになった。さらに, 相互作用の逐次分析から, 抑うつ児の孤立・引っ込み思案行動の下では, 仲間の攻撃行動が起こりにくいことが示された。 これらの結果から, 児童の対人行動および仲間の行動との機能的関係について考察し, 子どもの抑うつに関する対人モデルを検討した。
著者
竹島 克典 田中 善大
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
認知行動療法研究 (ISSN:24339075)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.115-124, 2019-09-30 (Released:2020-06-25)
参考文献数
27

本研究の目的は、PPR(Positive Peer Reporting)と集団随伴性によるクラス単位の介入プログラムを実施し、児童の抑うつ症状に対する効果を検討することであった。介入プログラムは、児童が毎日の学校生活のなかで仲間の向社会的行動を観察して肯定的報告を行いそれを担任教師が賞賛するPPRと、クラス全体の肯定的報告が目標数に達した場合にクラスで特別な活動ができるという相互依存型集団随伴性の手続きによって構成された。介入プログラムの事前と事後を比較した結果から、児童の抑うつ症状の有意な低減が示された。最後に、抑うつの対人モデルに基づいて、児童の抑うつに対する介入研究における社会的環境へのアプローチの有効性と今後の課題について考察した。