著者
庭山 和貴 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.4, pp.598-609, 2016 (Released:2017-02-01)
参考文献数
30
被引用文献数
13 11

本研究の目的は, 教師の授業中の言語賞賛回数が自己記録手続きによって増えるか検討し, さらにこれが児童らの授業参加行動を促進するか検証することであった。本研究は公立小学校の通常学級において行い, 対象者は担任教師3名とその学級の児童計85名(1年生2学級, 3年生1学級)であった。介入効果の指標として, 授業中に教師が児童を言語賞賛した回数と児童らの授業参加行動を記録した。介入効果を検証するために多層ベースラインデザインを用いて, 介入開始時期を対象者間でずらし, 介入を開始した対象者と介入を開始していない対象者を比較した。ベースライン期では, 介入は実施せず行動観察のみ行った。介入期では, 教師が授業中に自身の言語賞賛回数を自己記録する手続きを1日1授業行った。また訓練者が, 教師に対して週1~2回, 言語賞賛回数が増えていることを賞賛した。介入の結果, 3名の教師の言語賞賛回数が増え, 各学級の平均授業参加率も上昇した。フォローアップにおいても, 教師の言語賞賛回数と学級の平均授業参加率は維持されていた。今後は, 授業参加率が低い水準に留まった数名の児童に対する小集団・個別支援を検討していく必要があると考えられる。
著者
三田村 仰 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.257-270, 2009-09-30 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
2

発達障害児の保護者は子どもが通う学校の教師に対し、しばしば子どものニーズに応じた支援について依頼・相談を行う。より円滑で効果的な教師とのコミュニケーションを目指し、5名の発達障害児の保護者を対象に機能的アサーション・トレーニング(以下、トレーニング)を行った。トレーニングは、間接表現をも丁寧な自己表現として教える機能的アサーションの枠組みに基づいていた。保護者から得たアセスメント結果をもとに、トレーニングでは、保護者から教師への機能的なコミュニケーションを目標として、参加者に丁寧な表現と具体的な表現のスキルをトレーニングした。トレーニング効果は、担任教師との面談場面をイメージしての面談ロールプレイ・アセスメントをもとにABデザインで評価された。その結果、5名の参加者いずれも介入期においてべ一スライン期よりも丁寧で具体的な依頼・相談を行っており、介入期の依頼・相談がべ一スライン期の依頼・相談よりも望ましいと現役教師によって評定された。
著者
一言 英文 新谷 優 松見 淳子
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.3-24, 2008 (Released:2008-12-17)
参考文献数
107
被引用文献数
12 8

We tested the cross-cultural applicability of Greenberg's (1980) “Indebtedness model” in Japan and United States. We hypothesized that while the major antecedent of indebtedness is the recipient's benefit for American students, those of Japanese students is the donor's cost perceived by the recipient. University students from U.S.A. (n=151, male=47, female=104) and Japan (n=88, male=25, female=63) reported their recent experience of being aided by their families, friends, and strangers. They also rated on 75 items of questions concerning the intensities of indebtedness and other emotions they felt on receipt of aid, impression of the donor, and the amount of benefit and perceived donor's cost. Supporting our hypothesis, recipient's benefit was the major antecedent of indebtedness for American students and perceived donor's cost was the major antecedent for Japanese students. We also found positive correlation between the intensities of positive and negative emotions evoked by receiving aid, and a small amount of negative impression of the donor from one's own family only in the Japanese sample.
著者
庭山 和貴 松見 淳子
出版者
日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.42-50, 2012-07-25

研究の目的 応用行動分析の技法を組み合わせた訓練パッケージが紋付袴の着付けの改善に及ぼす効果を検証した。研究計画 ABCAデザインを用いた。場面 大学の能楽部部室において行われた。参加者 大学能楽部に所属する男子大学生3名であった。介入 正確な紋付袴姿の10条件からなるチェックリストを作成した。ベースライン(A)後の介入1期(B)では正確な紋付袴姿および着付け行動の言語的教示とモデル呈示、身体的ガイダンス、行動リハーサル、フィードバックを行った。介入2期(C)では訓練者によるフィードバックを自己記録へ部分的に移行させた。介入2期の後、ポストテスト(A)を実施した。行動の指標 正確な紋付袴姿の10条件からなるチェックリストの得点率を、正確な紋付袴姿の正確性として定義し、従属変数として用いた。結果 介入の結果、すべての参加者の紋付袴姿の正確性が改善し、第三者による評定においても参加者らの紋付袴姿がよりきれいになったとの評定が得られた。また、介入から約10ヶ月後のフォローアップにおいて介入効果の維持が確認された。考察 応用行動分析の技法を組み合わせた訓練パッケージは和服の着付けの改善に対しても有効であることが示された。今後は本研究で対象とした紋付袴の着付けの正確性の改善だけでなく、流暢性の改善も目指した研究を行うことが考えられる。
著者
大対 香奈子 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.43-55, 2010-01-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
7

本研究の目的は、小学3年生の学級を対象に感情理解・感情統制の訓練を含めた学級単位の社会的スキル訓練(SocialSkillsTraining;SST)を実施し、その結果、標的スキル、仲間からの受容度、および主観的な学校適応感に向上がみられたかを検討することであった。対象は3年生の2学級であり、学級Aを介入群(η=37)、学級Bを対照群@=35)とした。学級Bの児童は通常の授業を受けた。学級Aの担任教師から報告された仲間関係の問題を行動分析した結果、「感情理解スキル(感情読み取り・感情統制)」「頼むスキル」「断るスキル」を標的スキルとした。SSTの結果、介入群では標的スキルの獲得が確認され、学級全体の仲間関係にも改善がみられた。また、特に介入前に学校適応感が低かった児童について、対照群では学校適応感に有意な変化がみられなかったのに対し、介入群では介入から3か月後のフォローアップにかけて学校適応感に向上がみられた。
著者
佐藤 達哉 望月 昭 滝野 功 松見 淳子 下山 晴彦 小林 亮 松原 洋子
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

平成19年度は最終年度にあたるため、これまでのまとめを行った。日本心理学会第71回大会においてワークショップ「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」(2007年9月18日)を開催し、その記録を『ヒューマンサービスリサーチ』NO 10「心理学の歴史に学ぶ」として刊行した。このワークショップは欧米における臨床心理学関連の資格について英仏独米の現地調査に基づいた結果をもとに議論したものであり、企画趣旨は以下の通りである。「資格は学問と社会をつなぐメディア(媒介)の一つである。日本の臨床心理学関連資格のあり方を相対化して考えるためには歴史研究と比較研究が必要である。このワークショップでは企画者が日本の臨床心理学史を簡単に紹介した後、欧米のいくつかの国を例にとって臨床心理学の資格の内容や成立の過程や訓練のカリキュラムについて検討していく。イギリスについて下山が、ドイツについて小林が、フランスについて滝野が、それぞれの国における現地調査をふまえて報告を行う。これらの報告を受け松見が、アメリカの資格の状況もふまえて、文化的視点に配慮し討論を行う。各国の歴史的文化的な背景が資格制度の成立にどのように影響しているのか、資格付与機関のあり方は社会によって異なっているのか、費用は誰が負担するのか、資格は社会に対してどのような機能を持っているのか、などについて差異と共通点を考えていく」。公刊した論文の執筆者とタイトルは下記の通り。小林亮「ドイツにおける心理療法士-資格制度とその活動状況」下山晴彦「イギリスの臨床心理学の歴史-日本との比較を通して」滝野功久「独自な主張をするフランス臨床心理学の歩み」松見淳子「欧米諸国における臨床心理学資格の実際とその歴史」。
著者
高岡 しの 松見 淳子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.26.2.2, (Released:2017-06-19)
参考文献数
11
被引用文献数
2

The Humor Styles Questionnaire (HSQ: Martin et al., 2003) is a self-report measure to evaluate individual differences in the use of humor styles. The present study investigated the reliability and validity of the Japanese version of the HSQ (HSQ-J: Yoshida, 2012). The results of confirmatory factor analysis and internal consistency demonstrated adequate fit for a four-factor structure with reliability for each factor. Validity assessment of the HSQ-J indicated that the four humor styles related significantly as predicted to measures of self-esteem, aggression, social skills, and Japanese-derived humor scales. Based on the results, additional cultural considerations were discussed.
著者
藤田 昌也 松見 淳子 平山 哲
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.195-204, 2011-09-30

本研究は、最重度知的障害を伴う自閉症成人女性に対して、1時間単位の時計の読みと時系列の順序を指導した事例研究である。対象者は、28年間施設を入所利用し、)し2年から重症心身障害児施設を入所利用する41歳の最重度知的障害を伴う自閉症のある女性である。モデル提示、弁別訓練、プロンプトを用いた約30分の指導セッションを45試行、フォローアップを5試行実施した。介入の結果、アセスメントでは7以上の数字を読むことができなかった対象者が、段階的な指導を行うことにより1時間単位の時計の読みと時系列の順序を獲得することができた。3カ月半後のフォローアップでは時計の読みスキルの維持と他の時計への般化も確認された。本研究の結果から、段階的な行動的支援方法を用いることにより、最重度知的障害を伴う自閉症成人に対して、日常生活に応用可能な新たなスキルを形成できることが示された。
著者
藤田 昌也 松見 淳子 平山 哲
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.195-204, 2011-09-30 (Released:2019-04-06)

本研究は、最重度知的障害を伴う自閉症成人女性に対して、1時間単位の時計の読みと時系列の順序を指導した事例研究である。対象者は、28年間施設を入所利用し、)し2年から重症心身障害児施設を入所利用する41歳の最重度知的障害を伴う自閉症のある女性である。モデル提示、弁別訓練、プロンプトを用いた約30分の指導セッションを45試行、フォローアップを5試行実施した。介入の結果、アセスメントでは7以上の数字を読むことができなかった対象者が、段階的な指導を行うことにより1時間単位の時計の読みと時系列の順序を獲得することができた。3カ月半後のフォローアップでは時計の読みスキルの維持と他の時計への般化も確認された。本研究の結果から、段階的な行動的支援方法を用いることにより、最重度知的障害を伴う自閉症成人に対して、日常生活に応用可能な新たなスキルを形成できることが示された。
著者
野田 航 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.287-296, 2014 (Released:2015-11-19)
参考文献数
14
被引用文献数
4 3

本研究では、掛け算スキルの習得に困難がある小学生2名の事例において、掛け算スキルの流暢性に焦点をあてた応用行動分析に基づく指導パッケージの効果を検討した。公立小学校の通常学級2年に在籍する男児2名が研究に参加した。指導は週2回放課後に実施された。指導パッケージには、3C学習法(Cover-Copy-Compare; Skinner, Turco, Beatty, & Rasavage, 1989)と、タイムトライアルを用いた練習における目標設定とフィードバックが含まれていた。タイムトライアルにおける正答数と誤答数を従属変数とし、教材セット間多層プローブデザインを用いて指導効果を検討したところ、2名の掛け算スキルの流暢性が向上し、指導パッケージの効果が確認された。しかし、1名の児童は設定した達成基準を満たすことはできなかった。最後に、指導法の改善点や研究デザインなどの改善点について考察した。
著者
大対 香奈子 松見 淳子
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.223-233, 2007

The purpose of this study was to examine the relationship between teacher ratings of preschoolers' social skills and their level of competence in perspective taking, regulation of emotion, and interpersonal problem solving. The participants were 84 preschool children whose ages ranged from 3 to 5 years. The experiment was conducted individually using puppets. The results indicated that the developmental changes in the three areas of competence being studied were consistent with the findings of previous studies. We also found that children's regulation of emotion was related to perspective taking and interpersonal problem solving. Furthermore, the level of competence in interpersonal problem solving predicted teacher ratings of children's social skills. These results suggested that regulation of emotion and interpersonal problem solving are important elements of effective social skills training.
著者
藤田 昌也 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.67-81, 2009-01-31 (Released:2019-04-06)

本研究では、3名の自閉症児の事例を通して、大学生に機軸反応訓練(Pivotal Response Treatments:PRT)を指導することにより、遊び場面で自閉症児と適切な相互作用を形成することができるかを検討した。大学生と自閉症児が1対1のペアとなる遊び場面を設け、4名の大学生に対して教示、モデリング、ロールプレイ、パフォーマンスフィードバックを用いてPRTの指導を行った。標的行動は自閉症児の社会的行動(相互作用行動と働きかけ行動)と大学生のPRT行動とし、遊び場面における標的行動の変化を観察した。その結果、3名の大学生のPRT行動は増加し、さまざまな遊びを通して3名のうち2名の自閉症児との相互作用を形成することができた。相互作用が増えても自閉症児からの働きかけ行動を引き出すことができなかったことは、今後の課題として残された。
著者
道城 裕貴 原 説子 山本 千秋 田中 善大 江口 博美 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.175-186, 2008-05-31 (Released:2019-04-06)
被引用文献数
3

本研究の目的は、(1)発達障害児に模擬授業場面において個別およびグループトレーニングを行い、小学校で必要な行動を身につけさせること、(2)母親へのチェックリストにより教室場面での般化を確認することであった。対象児は、広汎性発達障害と診断された就学前の6歳2か月の女子1名であった。トレーナーおよびアシスタントは大学院生であった。模擬授業場面は、大学内に設置した小学校の教室場面と類似した環境であった。標的行動は、予備観察から「手を挙げて発表する」などの34の授業準備行動を選択した。個別トレーニングは1対1、グループトレーニングは1対2以上で行い、(1)個別トレーニング、(2)グループトレーニングという順で導入した。トレーニングでは、課題分析、モデリングやプロンプトなどの行動的技法を用いた。フォローアップでは、参加児が就学後に母親のチェックリストの記入により教室内における般化を検討した。結果として、大学の模擬授業場面において、発達障害児はさまざまな授業準備行動を身につけ、教室場面においても般化を確認することができた。
著者
三田村 仰 松見 淳子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.220-232, 2010-03-31 (Released:2010-04-28)
参考文献数
54
被引用文献数
4

本稿の目的は,適用範囲が広く,かつ適切性の基準をもつ機能的アサーションという新たな概念を提唱することであった。機能的アサーションの提唱に当たって,本稿では,アサーションの適用場面の限定性と,アサーションと攻撃的行動との弁別という2つの課題およびその解決方法を検討した。最終的に本稿は,話し手における課題の達成と,聞き手にとっての適切さという2つの機能でアサーションを捉える,機能的アサーションの概念を提唱した。また,機能的アサーションによる新たな適用場面への応用可能性も示唆した。機能的アサーションとは,話し手と聞き手双方の視点に注目した対人コミュニケーションとして定義される。
著者
竹島 克典 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.158-168, 2013-06-30 (Released:2013-10-10)
参考文献数
25
被引用文献数
3 1

本研究は, 小学校において, 抑うつ症状を示す児童の仲間との社会的相互作用を行動観察し, その対人行動の特徴と機能的関係を検討することを目的とした。自己記入式の抑うつ評価尺度を用いて抽出した抑うつ症状を示す高学年児童10名について, 学校内の2つの場面で行動観察を実施し, 仲間との相互作用について低抑うつ児童10名との比較を行った。観察1では, 学校の休憩時間に抑うつ症状を示す児童の自然観察を行った。観察2では, グループの問題解決課題場面を設定し, 抑うつ症状を示す児童と仲間との相互作用を観察した。その結果, 抑うつ症状を示す児童は, 自然場面において孤立することが多く, 仲間との相互作用が少ないことが明らかになった。また, 観察2の結果から, 抑うつ症状を示す児童は, グループ場面においても孤立・引っ込み思案行動が多く, 仲間とのポジティブな行動のやり取りが少ないことが明らかになった。さらに, 相互作用の逐次分析から, 抑うつ児の孤立・引っ込み思案行動の下では, 仲間の攻撃行動が起こりにくいことが示された。 これらの結果から, 児童の対人行動および仲間の行動との機能的関係について考察し, 子どもの抑うつに関する対人モデルを検討した。
著者
伊藤 直 村田 彩 松見 淳子
出版者
JAPAN SOCIETY FOR RESEARCH ON EMOTIONS
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.52-59, 2012

This study used a diary method and investigated the relationship between self-reports of depressive symptoms, and engagement in "pleasant and unpleasant activities" as well as affective reactions to these activities in Japanese undergraduate students. First, participants (<i>N</i>=121) monitored, for one day, whether they experienced each activity that was included in "the Scale of Life Events in Interpersonal and Achievement Domains for Undergraduate Students" (Takahira, 1998) and rated the degree of affective reactions to each activity. Participants also responded to the Beck Depression Inventory (BDI). Result revealed individual differences in the level of positive and negative affects following experienced activities. Second, based on the BDI scores, we selected depressed (<i>n</i>=34) and nondepressed (<i>n</i>=34) groups of students. Pleasant and unpleasant activities were respectively defined as those activities that individuals rated and followed by positive or negative affect evaluations. Result showed that the depressed group reported significantly less pleasant activities, more unpleasant activities, and a higher level of negative affect following experienced activities. The two groups did not differ significantly in the levels of positive affects. These results demonstrate the importance of conducting an accurate assessment of specific daily activities and associated affects in understanding depression.
著者
松見 淳子
出版者
Japanese Association for Behavioral and Cognitive Therapies( JABCT )
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1-4, 2016-01-31 (Released:2019-04-27)

The principles of cognitive behavior therapy (CBT) are considered to be cross-culturally applicable because the assessment and intervention programs are interrelated and, by definition, contextually designed and empirically evaluated. In the prevailing age of the evidence-based practice of psychotherapy, this special section aims to specify cultural adaptation elements of CBT in an Asian socio-cultural context. Progress made in the practice of CBT in Asia through the establishment of the Asian CBT Association (ACBTA) is reviewed, and various functional roles of culture in the application of CBT in Asia are considered. The 3 invited articles and a commentary are by Drs. Akihito Masuda, Young Hee Choi, Tori Andrews and Tian Po Oei, and Gordon C. Nagayama Hall; their papers were originally presented at the 4^<th> Asian Cognitive Behavior Therapy (CBT) Conference 2013 Tokyo, and were subsequently updated for the present Special Section of the Japanese Journal of Behavior Therapy, the flagship journal of the Japanese Association of Behavioral and Cognitive Therapies.
著者
中村 有里 松見 淳子
出版者
一般社団法人 日本行動分析学会
雑誌
行動分析学研究 (ISSN:09138013)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.54-58, 2010-01-30 (Released:2017-06-28)
被引用文献数
1

研究の目的行動的コーチングがハンドボールの7mスローにおけるシュートフォームの改善に及ぼす効果を検討した。研究計画ABAデザインを用いて行った。参加者ハンドボール部に所属する女子大学生3名であった。介入的シュート場面と通常シュート場面の2場面を設けた。シュートフォームを12項目の下位スキルに課題分析したチェックリストを用い、行動的コーチングとしてシュートフォームの教示、モデリング、行動リハーサル、パフォーマンスフィードバックを行った。行動の指標シュートフォーム下位スキルの正反応率であった。結果的シュート場面及び通常シュート場面共に参加者全てのシュートフォーム正反応率は上昇した。考察行動的コーチングはハンドボールのシュートフォームの改善に有効であることが示唆された。シュート成功本数については一貫した向上が見られなかった。
著者
三田村 仰 松見 淳子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.18, no.3, pp.220-232, 2010
被引用文献数
4

本稿の目的は,適用範囲が広く,かつ適切性の基準をもつ機能的アサーションという新たな概念を提唱することであった。機能的アサーションの提唱に当たって,本稿では,アサーションの適用場面の限定性と,アサーションと攻撃的行動との弁別という2つの課題およびその解決方法を検討した。最終的に本稿は,話し手における課題の達成と,聞き手にとっての適切さという2つの機能でアサーションを捉える,機能的アサーションの概念を提唱した。また,機能的アサーションによる新たな適用場面への応用可能性も示唆した。機能的アサーションとは,話し手と聞き手双方の視点に注目した対人コミュニケーションとして定義される。