- 著者
-
竹村 明日香
- 出版者
- お茶の水女子大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2016-04-01
当初の予定では,本年度は,(1)落語雑誌『上方はなし』のコーパスの完成,及び,(2)それらのコーパスに基づいた語彙研究を予定していたが,思いがけぬ体調不良により,いずれも達成半ばとなってしまった。しかし(1)のコーパスに関しては,研究補助員2名と大学院生2名の協力により,少しずつ完成の域に近づきつつある。特に『上方はなし』コーパスに関しては,全文検索システム『ひまわり』において本文とフリガナの検索が行えるようにテキストデータを整えた。これにより,旧字体での簡易な語彙検索が可能となったと言える。また,国立国語研究所の「通時コーパスの構築と日本語史研究の新展開」プロジェクトの構成員に加えてもらったことで,形態論情報の付加と運用に関して多くの情報を得ることができた。来年度はそれらの知識を基にコーパスの完成を目指す予定である。また本コーパスを使った語彙研究に関しては,京阪方言語彙をリストアップする段階まで行うことができた。今後はこれらの語彙的意味を記述し,辞書の形式で発表できるよう準備を行う予定である。また,コーパスの仕様に関しては,上方落語家と相談を行い,土地情報や話者情報もデータに付加することを決めた。これにより演芸関係者らも使いやすいコーパスを作成することができるものと思われる。本年度の研究成果は,研究発表(2017年12月)の場において進捗情報の報告という形で発表した。発表の場ではコーパス開発者から多くのアドバイスを得ることができた。語彙研究に関しては,現在少しずつ進展中であり,来年度には数点の論文を発表できる予定である。