著者
竹森 康弘 澤武 紀雄 里村 吉威 太田 英樹 渡辺 弘之 河上 浩康 岡井 高 高橋 豊 磨伊 正義 服部 信 秋山 高儀 永川 宅和 橋本 琢磨
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.84, no.10, pp.2386-2392, 1987 (Released:2007-12-26)
参考文献数
24
被引用文献数
6

各種消化器系疾患 (悪性疾患455例, 良性疾患303例) の血清CA 125値を測定し, 臨床的意義を検討した. 膵癌(66%), 肝細胞癌(51%), 胆道癌(47%)の順で高い陽性率がみられた. CA 19-9, DU-PAN-2, CEA陰性の膵癌でCA 125陽性例がかなりみられた. 胃, 大腸癌での陽性例はほとんど stage IV以上または非切除例で, 特に腹膜転移群では他のマーカーに比して明らかに陽性率が高かつた. 一方, 良性疾患での偽陽性率は一般に低かつたが, 腹水を有する肝硬変, 劇症肝炎, 重症の膵炎では本抗原の上昇がみられ, その増減は腹水の消長に一致していた. 以上より, 血清CA 125は膵, 胆道癌の診断のみならず, 腹水や腹膜転移の有無を把握するのに有用と考えられた.
著者
安藤 仁 加賀谷 尚史 竹森 康弘 野田 八嗣
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.94, no.11, pp.723-729, 1997-11-05
被引用文献数
1

HP陽性消化性疾患患者78例に対し除菌治療を施行し(PPI+AMPC 17例,PPI+AMPC+CAM 61例),HP抗体価およびPGI・II値,I/II比の推移について検討した.HP除菌例(<I>n</I>=68)では,治療後HP抗体価の低下およびPGI・II値の低下,PGI/II比の上昇を認めた.特にPGII値の低下とPGI/II比の上昇は除菌治療開始2カ月後の早期より著明でその後も持続した.一方,HP非除菌例では,治療後HP抗体価およびPGI/II比に明らかな変化はなく,PGI・II値がPPIの影響かむしろ早期に一過性の上昇を示した.以上より,PGII値とPGI/II比はHP除菌効果を早期より反映して変動することが示された.