著者
笠井 芳夫 湯浅 昇 露木 尚光 松井 勇
出版者
日本大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

本研究により得られた成果は以下の通りである。(1)1対のφ0.7mm-ステンレス電極棒を用いた小電極により、これまで不可能であったような局部的なコンクリートの含水率の測定を可能とした。(2)実構造物のコンクリート品質を明らかにし、その耐久性を検討した。(3)乾燥に伴うコンクリートの含水率及び細孔構造の不均質性の形成を観察し、不均質性に及ぼす乾燥開始材齢、乾燥環境、調合、部材厚、仕上げ材の施工の影響を明らかにした。(4)乾燥に伴う各種セメントの水和への影響を物理・化学的観点から明らかにした。(5)乾燥開始材齢と微小セメントペースト供試体の圧縮強度の関係を明らかにし、これをセメントペーストの細孔構造から検討を加えた。(6)乾燥開始材齢、乾燥表面からの距離及び含水率と透気性、透水性、吸放湿性の関係を明らかにした。(8)乾燥開始材齢が早いほど、中性化の進行、塩分浸透、凍結融解による劣化が激しいことを明らかにした。次のような課題が残されている。(1)コンクリートの含水率、細孔構造の不均質データの蓄積(2)含水率及び細孔構造と強度、劣化因子の浸透、仕上げの劣化との関係を解明(3)構造体コンクリートの強度分布、透気性分布、透水性分布の推定と検証(4)強度分布の形成、耐久性低下のシュミレーションこれらの点については、今後研究を続ける予定である。