著者
篠原 和大 藤井 道彦 小松 かおり
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

弥生時代の農耕集落として著名な登呂遺跡の復元された環境を活用しながら、弥生時代の農耕を中心とする生業のありかたを具体的に復元することを試みた。復元された水田での栽培実験や静岡・清水平野を中心とした弥生遺跡の検討、レプリカ法を用いた植物資料の収集をおこなった結果、「登呂モデル」としてある地域で弥生時代に農耕が形成され展開していく過程を示すことができた。
著者
佐藤 洋一郎 篠原 和大 浅井 辰夫 中村 郁郎 岡村 道雄 工楽 善通
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

日本各地の遺跡からは多量のイネ種子が出土しているが,その大半は黒化し炭化米と呼ばれている.故佐藤敏也氏が1960年代から1985年ころに収集した炭化米(これを佐藤コレクションという)を中心としてそれらの情報、とくに遺伝情報を1次資料化し,将来のデータベース化に備えようというものである.なお佐藤コレクションに含まれるサンプル総数は100万粒を超えるほど膨大なものであることがわかった.今年度はその最終年度であり、主にDNA分析に力を入れてまとめを行った.DNA分析を行った遺跡は全部で17遺跡(北海道から沖縄までの32都道府県にまたがる)で、そこから出土した計207粒の炭化米を研究に用いた.これら炭化米の多くは熱を受けて炭化したのではないことが外見上から確かめられた.DNA抽出はSSD法ないしはアルカリ法で行い,増幅はPCR法によった.その結果,古代の日本列島のイネのほとんどすべてがジャポニカであったこと,また約40%ほどの確率で熱帯ジャポニカの系統が含まれていることなどが明らかになった.熱帯ジャポニカは、場所、時期を問わず出土しており,当時の日本列島にひろく分布していたものと思われる.あわせて福岡市雀居遺跡から出土した炭化米はその220粒程度を対象に分析を行った.このうち12粒から,ジャポニカであることを示すDNA断片が増幅された.ただしそれらが熱帯ジャポニカであるか温帯ジャポニカであるかの判定はできなかった.
著者
篠原 和大
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

日本列島中部地域の農耕の形成について、特に本格的灌漑水田農耕成立以前の実態を明らかにする目的で調査・研究を行った。特に、静岡市手越向山遺跡の調査では、弥生時代中期前半に遡る可能性の高い畠状遺構を検出した。このような成果を含めた分析から、本格的農耕導入以前に、小規模集団がある程度選択的に各種の農耕形態を受容したことが考えられるようになった。また、静岡清水平野の事例の分析などから具体的にどのように農耕が形成されたかをモデル化することができた。