著者
長瀬 忍 篠崎 孝夫 土屋 勝 辻村 久 増川 克典 佐藤 直紀 伊藤 隆司 小池 謙造
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.201-208, 2009-09-20 (Released:2011-12-09)
参考文献数
23

毛髪外観は毛髪の形や色,光学物性などの影響を受ける。たとえば,毛髪の形は加齢に伴いうねり(くせ)が強くなることが報告されているが,うねりの増加に起因して毛髪の揃いが乱れ,髪の艶が低下する。そこで本研究では毛髪の形に着目し,毛髪の形と微細構造との関係を明確にすることを目的とし,種々の解析を行い以下の結果を得た。1.蛍光色素のくせ毛内部への浸透挙動は非対称(くせ形状の外側で浸透速度が速く,内側で遅い)であった。この結果は外側・内側における構造/化学組成の違いを示唆する。2.透過型電子顕微鏡観察により,くせの外側では中間径フィラメント(IF)が螺旋状に配列し比較的小さなマクロフィブリルを形成し,くせの内側ではIFは毛髪軸にほぼ平行に配列し比較的大きなマクロフィブリルを形成する傾向が認められた。3.くせ毛を外側と内側に分割しアミノ酸組成を分析した結果,くせの外側にはAsp,Glu,Glyが多く,内側にはCysが多いことが判明した。以上のヒトのくせ毛解析結果は,羊毛のオルト/パラコルテックス細胞の解析結果に似ており,曲がった形の毛髪の構造や組成が哺乳類で共通である可能性を示唆する。
著者
川上 佐知 羽原 浩史 篠崎 孝 鳥井 英三 古林 純一 菊池 泰二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
海岸工学論文集 (ISSN:09167897)
巻号頁・発行日
vol.50, pp.1231-1235, 2003-10-10 (Released:2010-03-17)
参考文献数
4
被引用文献数
2 1

自然再生を目的として人工干潟が各地で造成されているが, 造成後の人工干潟がどの程度干潟本来の機能を発揮しているかを評価する技術は未だ確立されたものがない. 本研究では, 干潟生態系の中核をなす底生生物に着目し, 環境条件の類似する自然干潟と比較することにより人工干潟の成熟性を評価する方法について提案した. その結果, 底生生物の生態的特徴により分類することで,(1) 生息状況の類似性,(2) 新たに提案したPW図による底生生物の大型化,(3) 干潟への依存性の高い注目種の生活サイクルの確認が可能となり, 概ね人工干潟の成熟性の評価が可能であることが明らかとなった.