著者
藤原 貞雄 座間 絋一 谷光 太郎 古川 澄明 米谷 雅之 陳 建平 横田 伸子 増田 正勝 藤原 貞雄
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1 本調査研究は、日・中・韓3国の環黄海地域の大学が協力し、自動車産業、電子産業という基幹産業を研究対象に取り上げ、それぞれの国や地域の産業政策と産業構造、産業組織の展開過程と現状を比較研究することによって、それぞれの国と地域の段階的、類型的特徴を明らかにすると共に、「環黄海経済圏」を構成する3カ国の国や地域の経済協力の現状と問題、将来方向を調査研究することを目的にしている。2 中国自動車産業については、現地の国営企業、日中合弁企業、郷鎮企業等の視察、国、省、市等における自動車産業政策についてのヒヤリングを行い関係資料の収集に努めた。3年間に中国の自動車産業及び自動車産業政策は大きな変貌を遂げたが。それを現地において確認しつつ研究調査できたことは大きな成果であった。3 1995年以前の中国自動車産業においては米国及び日本の自動車メーカーの関与はきわめて薄かったが、以後は米国のビッグ2及び日本のトヨタ、本田技研、ドイツのベンツ・クライスラーが完成車(乗用車)組立に本格算入することによって、様相は様変わりしつつある。つま1995年以後の中国自動車産業は世界自動車産業の一部に包摂されて発展をしている。この変化のプロセスを国内市場の変化、政策の変化とともに観察できた。4 中国の電子産業についても自動車産業と同様に、現地の国営企業、日中合弁企業、郷鎮企業等の視察、ヒヤリングを行い関係資料の収集に努めた。中国の電子産業及び半導体産業の発展はめざましく、現地において確認しつつ研究調査できたことは大きな成果であった。ここでは自動車産業とはちがって当初から外資系企業の導入が積極的に図られ、外資系メーカー主導の発展に特徴があり、全体としては労働力集約工程が集積しているが、研究開発工程の導入と自発的発展が課題となっている。5 韓国については主要非外資系自動車・電子企業及びそれらの研究所、労働組合に関する現地調査を行った。これについては現地研究分担者及び研究協力者と共に行った。6 研究成果の公開と研究交流を目的に中国韓国で計2回、日本で2回の合計4回の公開シンポジュームを開催した。これには3国の若手研究者も参加し、将来の共同研究の基礎を築いた。
著者
李 海峰 米谷 雅之 藤田 健
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、中国における市場経済発展の過程において社会経済がどのように変動しているか、大衆消費社会がどのように形成されているか等について、経済水準の異なる都市で消費者の生活や意識行動の調査を行い、中国における大衆消費社会の形成過程を解明するための調査研究である。本研究は計画とおりに大都市の北京市、上海市、広州市、重慶市において、各300世帯、地方都市の瀋陽市、石家荘市、武漢市において各200世帯、計1800世帯を無作為で抽出し、アンケート調査を実施した。この定量的調査研究を行うと同時に、定性的調査研究も行っている。北京市、上海市、広州市、重慶市、瀋陽市の5都市で計120世帯に対し、聞き取り調査を実施した。二通りの各調査は回収率が99%で、広範囲にわたって質の高い調査結果が得られた。回収したデータを日本に持ち帰り、分析を進めてきた。1990年代との時系列の比較、都市間比較、国際比較の観点から、解明している。従来,アメリカや日本における大衆消費市場の形成過程では,所得階層間の格差が次第に縮小し,上流階層だけではなく,多くの家庭が消費の自由選択力を持ち,消費財を絶えず買い換えたり,購買量を増やしたりする。しかし,中国は欧米や日本と異なり,都市間、所得階層間の格差が1990年代より拡大している一方、「中流階層意識」が急速に増加し、消費者はより高次の欲求の充足を求めているのは特徴である。都市における消費者ニーズは、必需品への支出から贅沢品への支出へ、モノへの支出からサービスへの支出に重点を移している。総体として「量」的欲求から「質」的欲求へと向上している。「消費生活水準の上昇」「所得増加への欲求」「今後の消費支出傾向」「消費者行動の特性」からみて,今後,中国の経済成長率は「政府」「企業」だけではなく,「消費者(家計)の力」から大きな影響を受けることになる。