著者
榎本 直史 川野 博 米須 功 丸山 寛 林田 信彦 田山 栄基 有永 康一 押領司 篤茂 川良 武美 青柳 成明
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.343-346, 1999-09-15 (Released:2009-04-28)
参考文献数
6

高齢者の Lutembacher 症候群の1例に対して外科治療を行い, 良好な結果を得たので報告する. 症例は71歳, 女性. 高度心不全を呈し, Qp/Qs=3.08の心房中隔欠損症に僧帽弁狭窄症, 三尖弁閉鎖不全症, 心房細動および肺高血圧症を合併していた. 手術は僧帽弁置換術, 心房中隔欠損パッチ閉鎖術, 三尖弁輪縫縮術を施行した. 術後一時的に呼吸不全に陥ったが, 厳重な術後管理により軽快し退院した. 高齢者の Lutembacher 症候群の手術報告例はきわめてまれであり, 本症例は, 本邦における手術報告例では最高齢と思われた. 本症候群に対しては, 高齢者においても術後臨床症状の著明な改善が得られるため, 十分な手術適応の検討のもと外科治療を行うことが望ましいと考えられた.