著者
田代 忠 青柳 成明 小島 逸也 田尻 敏行 豊増 弘幸 山本 英正 藤岡 康彦 赤 須厳 小須賀 健一 高木 博己 大石 喜六 古賀 道弘
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.310-316, 1979-03-25 (Released:2013-05-24)
参考文献数
37

心臓内伏針は,比較的まれな疾患であり,そのほとんどは,心房および心室切開を必要とせず心外より摘繊されている.したがって心腔内の異常所見の報告はきわめて少ない.われわれは,現在まで2例の本症を経験し,うち1例は,経過中に伏針が腐食により折れるという特異な所見を呈した症例で,無血体外循環の元に,左心室に切開を加え,心腔内の検索を行い,乳頭筋起始部心内膜の線維化および陳旧性血栓を発見し針を抜去した.自験例2例を中心として本邦の摘出治験報告例33例を集計し,心臓内伏針の原因,診断,手術適応,手術方法などについて若干の文献的考察を加えた.
著者
榎本 直史 川野 博 米須 功 丸山 寛 林田 信彦 田山 栄基 有永 康一 押領司 篤茂 川良 武美 青柳 成明
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.343-346, 1999-09-15 (Released:2009-04-28)
参考文献数
6

高齢者の Lutembacher 症候群の1例に対して外科治療を行い, 良好な結果を得たので報告する. 症例は71歳, 女性. 高度心不全を呈し, Qp/Qs=3.08の心房中隔欠損症に僧帽弁狭窄症, 三尖弁閉鎖不全症, 心房細動および肺高血圧症を合併していた. 手術は僧帽弁置換術, 心房中隔欠損パッチ閉鎖術, 三尖弁輪縫縮術を施行した. 術後一時的に呼吸不全に陥ったが, 厳重な術後管理により軽快し退院した. 高齢者の Lutembacher 症候群の手術報告例はきわめてまれであり, 本症例は, 本邦における手術報告例では最高齢と思われた. 本症候群に対しては, 高齢者においても術後臨床症状の著明な改善が得られるため, 十分な手術適応の検討のもと外科治療を行うことが望ましいと考えられた.