著者
粉川 牧 伊藤 修 渡辺 大
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.59-68, 2002-01-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
10

氷を構造材料とする薄肉の曲面板構造“アイスシェル”を冬期間の建築構造物として使用するというこれまでにない新しい試みが1997年以来,北海道はトマムで展開されている.同じ敷地内の一角で,ここ2年間,スパン20mアイスドーム(規模:底面直径約17m,高さ約6.5m)について構造工学的側面からフィールド実験が実施されてきた.この実験は,大規模アイスシェルの建築構造物への適用可能性を探るべく,その実証的研究として行われているもので,本報告は,これらのうちの一つ,2000年2月から4月初めにかけて実施された建設実験及び完成後のクリープ実験をまとめたものである.結果として,型枠空気膜に散雪散水する本工法は5~6日間で建設施工を可能にし,さらに完成したドームの構造性能は,平均鉛直変位速度が3~4mm/dayと小さく,又,崩壊性状は「延性的」であったことから,この規模のアイスドームが建築構造物として適用可能であることを示している.
著者
石沢 賢二 粉川 牧 半貫 敏夫 Kenji Ishizawa Tsutomu Kokawa Toshio Hannuki
雑誌
南極資料 = Antarctic Record (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.115-127, 1993-07

アイスドームの製作技術と時間によるその変形を研究するために, アイスドームの建設が試みられた。直径10mの膜を送風機で膨らませ, 水と雪をこの上にかけた。約13tの水を使って厚さ7cm, 高さ3mのものができあがった。天井はクリープにより, 徐々に変形が進み, 中央部は99日間で55mm沈下した。また, 夏にはアイスドームの厚さが昇華により急速に薄くなったため, ロータリ除雪車で時々雪掛けを行った。このアイスドームは倉庫あるいは作業場として有効に使用できた。もうひとつのアイスドームは, このために持ち込んだ造水装置を使用して実施したが, 強風と低温で大変な作業だった。また, 水を使わない雪だけのスノードームの製作も試みたが, 固まらなかった。
著者
石沢 賢二 粉川 牧 半貫 敏夫
出版者
国立極地研究所
雑誌
南極資料 (ISSN:00857289)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.115-127, 1993-07

アイスドームの製作技術と時間によるその変形を研究するために, アイスドームの建設が試みられた。直径10mの膜を送風機で膨らませ, 水と雪をこの上にかけた。約13tの水を使って厚さ7cm, 高さ3mのものができあがった。天井はクリープにより, 徐々に変形が進み, 中央部は99日間で55mm沈下した。また, 夏にはアイスドームの厚さが昇華により急速に薄くなったため, ロータリ除雪車で時々雪掛けを行った。このアイスドームは倉庫あるいは作業場として有効に使用できた。もうひとつのアイスドームは, このために持ち込んだ造水装置を使用して実施したが, 強風と低温で大変な作業だった。また, 水を使わない雪だけのスノードームの製作も試みたが, 固まらなかった。
著者
粉川 牧
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.365-375, 2004-05-15
被引用文献数
2

湖氷板上にアイスドームを建設する場合,湖氷板は長期のリング荷重を受ける.このとき,その力学的安全性が問題となる.そこで,この問題の理論的解明を計るために,ドーム建設中は時間に関して直線的に増加し完成後は一定となるリング荷重と線形Maxwell流体の構成式に従う氷の粘弾性モデルをそれぞれ仮定し,無限平板の弾性解に対応原理を適用して,氷板のクリープ解析法を展開した.その結果として,時間とともに変化する氷板の応力,変位を閉形級数解の形で示している.