著者
大江 孝明 櫻井 直樹 山崎 哲弘 奥井 弥生 石原 紀恵 岡室 美絵子 細平 正人
出版者
園芸学会
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.273-279, 2012 (Released:2013-10-08)

ウメ果実の追熟条件の違いが梅酒中の香気成分および苦み成分に及ぼす影響について調査した。におい嗅ぎ分析により,熟した果実を原料とした梅酒の芳香香気に関与する成分の一部がγ-デカラクトン,δ-デカラクトン,酪酸エチル,酢酸ブチルであると判断された。これら芳香香気成分量は,より収穫を遅らせた果実を用いた方が多く,原料果実を20℃で4日,30℃で3日追熟すると高まった。梅酒の青っぽい香気に関与する成分と判断された安息香酸エチルは,20℃では5日以内,30および35℃では3日以内の追熟により,収穫直後に漬けた場合と比べて同程度かそれ以下で推移した。また,苦みに関与するプルナシンおよびシュウ酸含量は20℃で4日,30℃で3日追熟すると減少した。以上のことから,原料果実の収穫時期や貯蔵条件により梅酒加工品の香気成分および苦み成分が大きく変わることが確認され,芳香香気を高め,青っぽい香気成分や苦み成分を抑えるためには,より熟した果実を収穫して,20℃で4日もしくは30℃で3日追熟させてから加工するのが良いと考えられた。
著者
大江 孝明 根来 圭一 岡室 美絵子 土田 靖久 細平 正人
出版者
近畿中国四国農業研究協議会
雑誌
近畿中国四国農業研究 (ISSN:13476238)
巻号頁・発行日
no.14, pp.118-122, 2009-03

ウメのもつ品質成分を出来るだけ活かした梅酒およびウメ糖抽出液(梅ジユース原液)の加工方法について検討するとともに、糖添加量の削減が品質成分の抽出量に及ぼす影響について検討した。果実の品質成分を十分に梅酒中に抽出するためには果実1kgあたり0.6kg程度の砂糖を添加するのがよいと考えられた。また、原料果実を冷凍した後に漬け込むことで、梅酒およびウメ糖抽出液の品質が高まり、ウメ糖抽出液製造における砂糖溶解に要する期間が短縮され、梅酒の砂糖量を削減できた。ウメ糖抽出液の製造にあたっては、核を抜き核と果肉をともに漬け込むことで、通常の漬け込みに比べて作業時間を要するものの、より品質が向上し、砂糖溶解に要する期間が短縮されることがわかった。さらに、冷凍や核抜きによる前処理には、収穫後期の果実における抽出量減少を改善する効果が認められた。