著者
石塚 譲 川井 裕史 石井 亘 大谷 新太郎
出版者
近畿中国四国農業研究協議会
雑誌
近畿中国四国農業研究 (ISSN:13476238)
巻号頁・発行日
no.14, pp.100-104, 2009-03

大阪府内の異なる2地域において、野生ジカ雌のGPS首輪による行動調査を行った。固定カーネル法による行動圏調査において、一方は水田を含む農耕地周辺を主たる行動圏としており、昼間のコアエリアは森林域に位置するが、夜間のコアエリアは水田周囲に位置し、農業被害を起こす可能性が示唆された。他方は、森林地域を主たる行動圏としており、コアエリアは、夜間、昼間ともにほぼ森林域に位置し、農業被害への関与は少ないと考えられた。また、農耕地周辺を行動圏とする個体は、10月のコアエリアがイネ刈り取り後の水田に位置しており、落ち穂もしくはイネのひこばえを食している可能性が推察された。以上のことから、野生ジカは生息地域の環境によって行動圏が異なる可能性が示唆され、被害対策としての捕獲を実施する際には実施場所と近隣農耕地との位置関係を念頭に置く必要があることが考えられた。また、直接被害とは結びつかないが、防除網がないこと、ひこばえなどが存在することは、シカを水田に引きつける要因となる可能性が考えられた。
著者
大江 孝明 根来 圭一 岡室 美絵子 土田 靖久 細平 正人
出版者
近畿中国四国農業研究協議会
雑誌
近畿中国四国農業研究 (ISSN:13476238)
巻号頁・発行日
no.14, pp.118-122, 2009-03

ウメのもつ品質成分を出来るだけ活かした梅酒およびウメ糖抽出液(梅ジユース原液)の加工方法について検討するとともに、糖添加量の削減が品質成分の抽出量に及ぼす影響について検討した。果実の品質成分を十分に梅酒中に抽出するためには果実1kgあたり0.6kg程度の砂糖を添加するのがよいと考えられた。また、原料果実を冷凍した後に漬け込むことで、梅酒およびウメ糖抽出液の品質が高まり、ウメ糖抽出液製造における砂糖溶解に要する期間が短縮され、梅酒の砂糖量を削減できた。ウメ糖抽出液の製造にあたっては、核を抜き核と果肉をともに漬け込むことで、通常の漬け込みに比べて作業時間を要するものの、より品質が向上し、砂糖溶解に要する期間が短縮されることがわかった。さらに、冷凍や核抜きによる前処理には、収穫後期の果実における抽出量減少を改善する効果が認められた。
著者
川口 章 神谷 奈多紗 金谷 寛子 井上 幸次
出版者
近畿中国四国農業研究協議会
雑誌
近畿中国四国農業研究 (ISSN:13476238)
巻号頁・発行日
no.18, pp.69-72, 2011-03

既報のnested-PCR法を改良し,枯死したイチジク樹から1回のPCRで株枯病菌を検出できる方法を開発した.株枯病により枯死させたイチジクにおいて,通常の組織分離法による病原菌の検出が困難であったサンプルから,CFF5/CFR3のプライマーセットを用いた1回のPCRにより株枯病菌の検出が可能であった. また,PCRに用いるDNAを抽出するためのサンプルとして,イチジク木部をノコギリで切った際に得られる木くずが利用可能であった. これらの方法は,株枯病が疑われる,イチジク枯死樹の遺伝子診断として有効である.
著者
衛藤 夏葉 西森 裕夫 藤岡 唯志 東 卓弥
出版者
近畿中国四国農業研究協議会
雑誌
近畿中国四国農業研究 (ISSN:13476238)
巻号頁・発行日
no.14, pp.68-72, 2009-03

和歌山ダイコンの生育に伴うす入りの発生経過および播種時期がす入り発生に及ぼす影響について検討した。1.9月22日播種では、す入りは播種後約60日、根重約200gの時期に急激に発生した。その後、す入り株率の増加は緩慢であったが、す入り程度は根の肥大とともに高まった。2.9月12日、9月22日、10月3日播種におけるす入り発生株率はそれぞれ42.5%、22.5%、10%であり、播種時期が早いほど発生株率は高く、発生程度も高かった。また、9月12日播種と22日播種では、す入りは根重が大きく、葉重/根重が小さい株で発生しやすい傾向があった。3.10月3日播種では、す入りの発生は少なかったものの十分な生育量が確保できなかった。4.以上より、和歌山市周辺における和歌山ダイコンの播種時期は、す入りの発生が少なく、十分な根身肥大が確保できる9月20日前後が適当と考えられた。