著者
紺野 登
出版者
日本創造学会
雑誌
日本創造学会論文誌 (ISSN:13492454)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.1-12, 2023 (Released:2023-05-13)

本稿では創造的リスキリングを個人の創造性のそれではなく、イノベーションのための組織的創造性にかかわる知識・能力の拡充としてとらえる。イノベーションは革新的知識創造活動であるが、安定を追求する現業の現場では必ずしも歓迎されない。そこでは壁を超える協業で組織の創造性を引き上げることが課題となる。一方、組織が知識を得ても、それが価値実現に直接結びつくとは限らない。価値の方向や目的を先行的に明示することで、あるべき知識や能力、人的資本が出現すると考えるのが妥当ではないか。そこで重要になるのが目的群の創出である。個からチーム、組織に至る「目的のオーケストレーション」が組織全体の潜在的な知力、創造性を高めるといえる。本稿では「目的工学」の考え方に沿って、組織的知識創造を支援・加速する利他主義的な目的と場、それに基づく知の方法論のカリキュラムによるリスキリングを提言している。
著者
野中 郁次郎 紺野 登 川村 尚也
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.2-20, 1990 (Released:2022-07-15)

組織にとって有意義な知識は,成員が能動的に関与した暗黙知と形式知の相互作用によって固有に獲得される.組織的「知の創造」は,知の共有化から概念化に至る集団の対話プロセスである.その実証分析とモデル化の手法としては発語行為やメタファーなどの言語行為に着目した創造的対話の内容分析が有効である.今後の組織研究はこれに基づく新たなかつ普遍的な組織的知の創造の方法論の探求に焦点を当てる必要がある.