- 著者
-
永井 明子
松野 昌展
葛西 一貴
網干 博文
川村 全
佐竹 隆
金澤 英作
- 出版者
- Japanese Association for Oral Biology
- 雑誌
- 歯科基礎医学会雑誌 (ISSN:03850137)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.4, pp.232-240, 1998-08-20 (Released:2010-06-11)
- 参考文献数
- 16
アジア太平洋モンゴロイド集団の下顎小臼歯についてその舌側咬頭数を調べ, 出現頻度を各集団ごとに比較した。第1小臼歯については舌側1咬頭性のものが日本で54.9%と半数以上を占めており, 2咬頭性のものは41.5%であった。1咬頭性の頻度を集団ごとに比較すると, モンゴルでは68.1%と高く, ついで日本が54.9%, ミクロネシアのキリバスは51.9%, 台湾のヤミでは半数以下の44.1%, 太平洋集団のサモア, フィジー, そしてオーストラリア先住民は40%以下の低い頻度であった。2咬頭性のものはモンゴルでは29.8%と低い頻度を示すが, サモア, フィジー, オーストラリア先住民は50%以上を占めていた。第2小臼歯では舌側2咬頭性のものがどの集団でも70%以上を占めている。1咬頭性のものはモンゴル, 日本, ヤミ, キリバスでは10%以上の頻度でみられるが, サモア, フィジー, オーストラリア先住民での頻度は低い。また3咬頭性のものがフィジー, オーストラリア先住民では20%以上の頻度であった。第1小臼歯と第2小臼歯を比較すると, 第2小臼歯の方が舌側咬頭数の変異は少ない。集団間では太平洋集団で第1・第2小臼歯ともに舌側咬頭数が多いものの頻度が高いことがわかった。