著者
佐野 仁美 Hitomi SANO 聖隷クリストファー大学介護福祉専門学校 Seirei Christopher University College of Care Work
雑誌
聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 = Bulletin of the School of Social Work Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.19, pp.89-93, 2021-03-31

資料福祉・介護福祉の科学的な根拠ある実践のためには、課題解決思考と支援技術が必要である。一つとして同じ支援場面はなく、専門性を修得するプロセスは個々の環境や経験の違いの影響を受けるものであることがわかる。先行研究のキーワードを軸にして、福祉・介護福祉の専門性の修得に関わる経験の整理を試みた。領域に共通する特徴(繰り返し実践、他者や利用者との関わりから得るものがある、自ら自分の経験や体験を振り返り言語化する、その過程が福祉専門職の実践である)等の整理ができたが、多様な人材で担われる福祉現場での専門性の確立に向けた実践や、世間一般の方の福祉・介護福祉の専門性の理解促進のためには、更なる"専門性の見える化"が必要である
著者
佐藤 順子 Junko SATO 聖隷クリストファー大学 Seirei Christopher University
雑誌
聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 = Bulletin of the School of Social Work Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-10, 2021-03-31

論文地域福祉を外的に規定する自治制として、2000 年代のコミュニティ政策と、その中核をなす国や地方自治体をあげて促進されたコミュニティ制度化やそれを伴う自治体内分権を取り上げ、先行研究をもとにコミュニティ政策に対する評価と課題、及び2010 年代中盤におけるコミュニティ制度化とそれを伴う自治体内分権の実態について述べた。特にコミュニティ政策に対する評価として、それには両義性があり、行政によるコミュニティの包摂化、行政管理型の住民自治などになる懸念がある一方、住民が統治に参画する、自治やデモクラシーを促進する可能性も指摘されていることを示した。そして、前者=マイナス面を後者=プラス面に転化するための条件・課題として、コミュニティ組織設立のプロセスにおける地域住民との時間をかけた熟議、決定権限の委譲、協働(公共サービスの提供)機能より参加(公共的意思決定)機能≒協議機能を重視すること、政治的・財政的な自律性を担保すること、行政とは別の評価システム、コミュニティ自治の支援システムを構築すること、と整理した。 全国的な調査結果からは、今般のコミュニティ政策が住民自治促進には必ずしも直結するとはいえないことが明らかとなった。
著者
國分 真佐代 大石 恵美子 Masayo KOKUBU Emiko OHISHI 聖隷クリストファー大学看護短期大学部専攻科助産学特別専攻 聖隷クリストファー大学看護短期大学部専攻科助産学特別専攻
出版者
聖隷クリストファー大学看護短期大学部
雑誌
紀要 (ISSN:13483900)
巻号頁・発行日
no.27, pp.33-41, 2004
被引用文献数
1

本研究は、助言された産育に関する慣習の実行程度とその理由との関連を明らかにするために産後4ヶ月の母親14人に倫理的配慮を行った上で聞き取り調査を行った。その結果、母親が受けた慣習の総助言数は175件で、その内訳は実行群155件、形だけ実行群3件、不実行群17件、慣習内容は食事・日常生活行動・儀礼の順に多かった。実行した慣習は、子どもの健康や妊娠・分娩への影響についての科学的根拠や謂れを伴うものが多かった。ただし、謂れが不明でも実行していた「忌」の行為や、嫁の立場を優先して形だけ実行した「帯祝い」・「オデンギョウ」など慣習の謂れが明確であれば慣習を肯定して実行する可能性を含むものもあった。このため、看護師は母親が慣習の科学的根拠や謂れを知ることによって自分の産育慣習についてのより具体的な考えを持つことや、母親の自己決定を見守り支えられるような関わりができることが重要であると思われた。