著者
佐藤 順子 Junko SATO 聖隷クリストファー大学 Seirei Christopher University
雑誌
聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 = Bulletin of the School of Social Work Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-10, 2021-03-31

論文地域福祉を外的に規定する自治制として、2000 年代のコミュニティ政策と、その中核をなす国や地方自治体をあげて促進されたコミュニティ制度化やそれを伴う自治体内分権を取り上げ、先行研究をもとにコミュニティ政策に対する評価と課題、及び2010 年代中盤におけるコミュニティ制度化とそれを伴う自治体内分権の実態について述べた。特にコミュニティ政策に対する評価として、それには両義性があり、行政によるコミュニティの包摂化、行政管理型の住民自治などになる懸念がある一方、住民が統治に参画する、自治やデモクラシーを促進する可能性も指摘されていることを示した。そして、前者=マイナス面を後者=プラス面に転化するための条件・課題として、コミュニティ組織設立のプロセスにおける地域住民との時間をかけた熟議、決定権限の委譲、協働(公共サービスの提供)機能より参加(公共的意思決定)機能≒協議機能を重視すること、政治的・財政的な自律性を担保すること、行政とは別の評価システム、コミュニティ自治の支援システムを構築すること、と整理した。 全国的な調査結果からは、今般のコミュニティ政策が住民自治促進には必ずしも直結するとはいえないことが明らかとなった。
著者
佐藤 順子
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会誌 (ISSN:18835864)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.294-300, 2020

本稿はフードバンクによる食料支援にはどのような意義があるかについて考察することを目的としたものである。フードバンクは生活困窮者支援においてインフォーマル・サービスとして位置づけられている。社会保障制度ではフォーマル・サービスとしての所得保障が重要でありつつも,フードバンクによる食料支援は,生活困窮者支援団体との連携によって,所得保障を補完し,同時に所得保障に橋渡しをする役割を担っている。フードバンクが困窮者支援の役割を果たすためには,国および自治体による恒常的な支援が今後さらに必要となってくると考える。
著者
佐藤 順子
雑誌
聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 = Bulletin of the School of Social Work Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.18, pp.23-31, 2020-03-31

研究ノート本稿は、社協による地区社協等づくりが果たしてきた歴史的役割を正しく評価することを目的に取り組んできた研究の第三報であり、社会福祉基礎構造改革以降2010 年代半ばまでの社会福祉政策、地域福祉政策と社会福祉協議会及び地区社協の位置づけについてまとめたものである。 2000 年代初頭に行われた社会福祉基礎構造改革により、社会保障の縮小が促進され、互助・共助の強化が公助を補完するものとして期待されるようになった。こうした中、あらためて社協の役割が内外で検討された結果、80 年代から90 年代にかけて軽視されてきた地区社協等が、地域におけるつながりづくりや住民主体のインフォーマルサービス開発などを実現するものとして再評価され、その推進が一層求められるようになった。もとより、社協の地区社協等づくりは政策側からの期待に応えるために取り組まれてきたわけではなく、社協創設以来、住民主体の地域福祉の実現のために取り組まれ、その結果生み出された諸活動がインフォーマルサービスとして地域の中で資源化してきたと考えるべきであり、2006 年、2008 年に提出された地域の福祉力や小地域福祉活動の活性化に関する調査報告で示された方針は、社協による地区社協等支援において基盤とすべきものとして重要である。 またこの間の社会福祉、地域福祉政策においては、コミュニティ政策の影響も認められ、地区社協以外の地域福祉推進基礎組織、社協以外の支援機関が出現するなど、この面でも多元化がみられる。そうした中、社協の専門性、相対的独自性を明らかにし、住民がイニシアティヴをもって活動を展開し、自治体統治に参画する、という側面を重視し、多様な地域福祉推進基礎組織に対して支援していくことがますます求められる。
著者
佐藤 順子
出版者
佛教大学社会福祉学部
雑誌
社会福祉学部論集 = Journal of the Faculty of Social Welfare (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
no.13, pp.65-78, 2017-03

本稿は,2016年9月に筆者らが行った韓国におけるフードバンクシステムの調査結果の概要を報告することを目的としている。韓国では1998年から2年間のフードバンクモデル事業実施期間を経て,フードバンクに関連する法整備がなされた。その結果,全国フードバンク寄付食品中央物流センター,市・郡レベルの広域フードバンク,区レベルで施設,団体などや最終受益者(利用者)に提供を行う基礎フードバンクが設置されるという仕組みが構築され,フードバンクは住民にとって身近な存在となった。調査はソウル特別市内の広域フードバンク,社会福祉協議会の運営する基礎フードバンクおよび民間法人が運営するフードバンクについて行った。本稿では,その中でも基礎フードバンクを取り上げてその多様な活動を紹介し,利用者の選定基準,基礎フードバンク/フードマーケットにおける社会福祉士の役割などを中心に報告を行う。フードバンクフードマーケット社会福祉士利用資格国民基礎生活保障受給者
著者
手塚 宣夫 堀毛 一也 菅原 郁夫 鳥畑 与一 大山 小夜 佐藤 順子
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

金銭管理に関するアンケート調査により、合計3,304名の回答を得ました。(財)民事紛争処理研究基金の助成により実施した同様の調査結果と併せて、総計4,432名の回答を得ました。これは、労働組合や生協の組合員の方を中心とした調査なので、各人・各家庭の平均的な金銭管理について、ある程度の一般的な傾向を知ることができます。この調査結果を分析することによって、金銭管理の問題点を探り、多重債務にならないための予防策について、提言する予定です。
著者
吹田 義一 正箱 信一郎 佐藤 順子 黒川 哲平 高井 大輔 佃 芳行 寺嶋 昇 藤澤 正一郎 黄地 尚義 増渕 興一
出版者
社団法人溶接学会
雑誌
溶接学会論文集 : quarterly journal of the Japan Welding Society (ISSN:02884771)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.33-38, 2003-02-05
被引用文献数
6 8

As a welding method in space, the authors have proposed the GHTA (Gas Hollow Tungsten Arc) welding method in the previous papers, where some GHTA welding experiments have been conducted under the condition of low pressure (10^-2 Pa) and/or the micro-gravity. In the present paper, a feasibility study has been conducted whether the method can be used under such a high vacuum condition (10^-5 Pa) as on the space station orbit. As a result, it is made clear that the GHTA method is quite feasible under the high vacuum condition and its melting process strongly depends on the operating gas species such as Ne, Ar and Kr. Increasing the flow rate of operating gas decreases the mass of metal vapor from molten pool and the use of a heavy operating gas such as Kr also decreases the mass of metal vapor.