著者
佐野 仁美 Hitomi SANO 聖隷クリストファー大学介護福祉専門学校 Seirei Christopher University College of Care Work
雑誌
聖隷クリストファー大学社会福祉学部紀要 = Bulletin of the School of Social Work Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.19, pp.89-93, 2021-03-31

資料福祉・介護福祉の科学的な根拠ある実践のためには、課題解決思考と支援技術が必要である。一つとして同じ支援場面はなく、専門性を修得するプロセスは個々の環境や経験の違いの影響を受けるものであることがわかる。先行研究のキーワードを軸にして、福祉・介護福祉の専門性の修得に関わる経験の整理を試みた。領域に共通する特徴(繰り返し実践、他者や利用者との関わりから得るものがある、自ら自分の経験や体験を振り返り言語化する、その過程が福祉専門職の実践である)等の整理ができたが、多様な人材で担われる福祉現場での専門性の確立に向けた実践や、世間一般の方の福祉・介護福祉の専門性の理解促進のためには、更なる"専門性の見える化"が必要である
著者
小川 令 黄 晨昱 赤石 諭史 佐野 仁美 百束 比古
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.102-107, 2014 (Released:2014-07-01)
参考文献数
33

地球上の生命は重力を常に感受し,三次元形態を保っており,皮膚および軟部組織には自然の状態で張力が生じている。これら物理的刺激が,創傷治癒に大きな役割を担っていることが最近分かってきた。メカノバイオロジーは,物理的刺激が,細胞や組織,臓器にどのような影響を与えるかを研究する学問である。皮膚や軟部組織は体内と体外それぞれから常に物理的刺激を受けている組織であり,創傷治癒や組織再建,再生医療を実践する創傷外科医・形成外科医はメカノバイオロジーを理解しておく必要がある。物理的刺激は,細胞のメカノセンサーによって感受され,機械刺激シグナル伝達系路を通じて核内に情報が伝達される。その結果,細胞がタンパク質を産生し,種々の機能が発現される。これら物理的刺激をコントロールする医療をメカノセラピーと定義し,今後創傷外科領域において発展させるべきと考えられた。
著者
濱野 貴通 高橋 俊行 中島 翠 佐野 仁美 須藤 章 福島 直樹 西川 秀司 武内 利直
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会総会抄録集 第37回日本臨床免疫学会総会抄録集 (ISSN:18803296)
巻号頁・発行日
pp.158, 2009 (Released:2009-10-21)

好酸球性胃腸炎は,消化管壁への著明な好酸球浸潤による消化器症状を認め,末梢血好酸球が増加する稀な疾患である。 今回,抗アレルギー剤の投与にて治療しえた小児好酸球性腸炎の1例を経験した。 症例は5歳女児。半年前からの繰り返す水様性下痢を主訴に当科を受診した。検査所見にて著明な好酸球増加(WBC 18800 /μl, Eos 54 %),鉄欠乏性貧血,低蛋白血症,便潜血陽性を認め,好酸球性胃腸炎の疑いで入院となった。 入院後,IgE RASTにて卵白,リンゴが陽性であり食事制限を行なったが,症状の改善はなく,検査所見にてWBC 21200 /μl(Eos 76 %) と増悪傾向を認めた。消化管内視鏡検査にて十二指腸球部の粘膜に発赤があり,病理像にて著明な好酸球の浸潤を認めた。 好酸球性胃腸炎と診断し,トシル酸スプラタスト投与を開始したところ,水様性下痢は消失し,7日後にはWBC 11800/μl(Eos 33.0 %)と改善傾向を認め,外来経過観察とした。 経過観察中,再びWBC 13300 /μl(Eos 42.0 %)と上昇傾向を認め,クロモグリク酸ナトリウム投与を追加した。投与2ヶ月後,WBC 5600 /μl(Eos 6.0%)となり,鉄欠乏性貧血,低蛋白血症状も改善した。投与4ヶ月後,便潜血陰性となった。 抗アレルギー剤の投与によって本疾患を治療しえたことは意義があると考え,報告する。
著者
佐野 仁美 小畑 郁男
出版者
京都橘大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、学生が主体的に旋律を表現できる力を養うための教授法を開発することである。楽譜と音楽表現との間には客観的な法則性があることの例証を通して、楽譜には書かれていない音楽表現を楽譜から読み取る方法を一般理論化した。また、音楽表現を楽譜上に視覚化していく方法を提案するとともに、理論をもとに、教員養成課程でよく用いられる楽曲を多く取り上げて、音楽表現の方法を例示した。最終年度には、まとめとして、一般の音楽愛好家を対象とした『究極の読譜術――こころに響く演奏のために――』を出版した。
著者
佐野 仁美
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回 (2019)
巻号頁・発行日
pp.2I3OS15a03, 2019 (Released:2019-06-01)

本稿では、2015年2月より開催されているAI社会論研究会の社会的な役割について検討を試みる。人AIが社会に浸透し、大規模に人々とAIが混在する社会が形成されるにつれて予期し難い影響が生じるのであれば、あらかじめ多くのステークホルダーとの対話の中でリスクや不確実性を回避することが求められる。人とAIが織りなす新たなエコシステムを検討するには、限られた分野に閉じた議論ではなく、分野共創、マルチステークホルダー、調和 などのキーワードとともに、異分野が対話する‘場’の設計が新たなエコシステムのフレームワークとして有効である。AI社会論研究会は、これまでAIと社会の接点としての、その場を担っているとすれば、どのような効果をAI技術と社会のあり方の議論に波及してきたのかをAI社会論研究会の特徴である「HELPS」を指標に取り入れ、その議論とステークホルダーの多様性を中心に分析し、今後のあり方についても示唆する。
著者
佐野 仁美 黒木 由夫
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.8, pp.650-656, 2000-12-25 (Released:2016-10-15)
参考文献数
13

肺は気管支末端に約3億個の肺胞を有し, 呼吸という生命維持に必須な生理機能を担っている。肺サーファクタントは肺胞II型細胞で合成, 肺胞腔に分泌されて肺胞の全表面を覆う脂質-蛋白質複合体(リポ蛋白質)である。サーファクタントの機能発現には, 特異的アポ蛋白質が必須である。親水性アポ蛋白のSP-AとSP-Dは, C型レクチンのコレクチン・サブグループに属する。これらの蛋白質は気道-肺胞系における生体防御作用, 特に, 自然免疫の担い手として機能している。SP-Aは肺サーファクタントアポ蛋白質の中で最も多く存在するアポ蛋白で, 生体防御レクチンとして多彩な機能が明らかにされつつある。SP-Aは, グラム陰性菌, カリニ原虫やインフルエンザウィルス等の病原微生物に結合するとともに, マクロファージとも相互作用を有する。C1q受容体やエンドトキシン受容体(CD14)のリガンドとしても機能し, エンドトキシンにより惹起される細胞応答を制御することも明らかにされた。記憶と特異性によって感染を防御する獲得免疫と違って, 自然免疫は, 感染に対して直ちに反応して, 異物の認識と排除を行う生体防御システムである。近年, HIV感染症, エイズや悪性腫瘍時における獲得免疫の破壊による感染症が増加する中, 臨床医学においてもFirst Line Defenseとして働く自然免疫の重要性が注目されている。