著者
脇本 忍
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究
巻号頁・発行日
vol.23, pp.83-93, 2016

本研究は、落語に登場する女性が男性に対してつく嘘の動機と構造について検討した。落語はフィクションであり、そこに登場する人物の嘘の是非を問うものではなく、嘘が物語を成立させるための重要な言動になることもある。Ford(1996)の報告では、嘘の動機には、罰回避・自意識維持・攻撃的行動・支配感獲得・騙す喜び・願望充足・自己欺瞞強化・他者行動コントロール・他者援助・他者の自己欺瞞援助・役割葛藤解決・自負心保全・アイデンティティ獲得の13種類があるとされてきた。本研究では、女性が嘘をつく落語作品から、「紙入れ」「星野屋」「芝浜」の3作品に注目し、それらの作品の嘘の動機と照合しながら、各作品に登場する女性たちの嘘について分析を試みた。その結果、「紙入れ」では罰回避と他者支援、「星野屋」では願望充足と他者行動コントロール、「芝浜」では他者援助と罰回避、さらに自負心保全の動機があることが考えられた。男性目線で創作され演じられてきた落語における女性の嘘には、心理的性であるジェンダーの視点から、嘘をついても許せる女性像と、理想の女性像に連関する要因が含まれていることが推察できた。
著者
脇本 忍
出版者
聖泉大学紀要委員会
雑誌
聖泉論叢 = The Seisen review (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.24, pp.45-57, 2016

大学のキャリア教育や職業教育では,多くの大学が,インターシッププログラムを導入している.インターシップは,日常業務型・課題解決型・アルバイトパート型・見学型・講義型などに分類されている(真鍋,2010).経済産業省近畿経済産業局は,実践課題解決インターシッププロジェクト「Ai-SPEC」を実施した.各大学のゼミ単位で構成したチームが,マッチングされた企業と協働して企業の課題解決を約半年間実施し,中間発表会,地区大会,最終発表会にてプレゼンテーションを行った.京都地区には9チームがエントリー(聖泉大学1チーム・近畿大学2チーム・追手門大学2チーム・同志社大学2チーム・京都産業大学1チーム・関西大学1チーム),大阪地区には14チーム(近畿大学3チーム・関西大学3チーム・大阪市立大学2チーム・桃山学院大学2チーム・武庫川女子大学2チーム・甲南女子大学1チーム・追手門大学1チーム)がエントリーした.
著者
脇本 忍 方 予辰 隆 重
出版者
聖泉大学紀要委員会
雑誌
聖泉論叢 (ISSN:13434365)
巻号頁・発行日
no.27, pp.29-52, 2020

本研究は、沖縄のシャーマニズムと沖縄在住者の不思講現象についての認知に関する実証研究の報告と 、神職者の上位者であるノロと呼ばれる女性司祭者の問き取り調査を沖縄県今帰仁村の今帰仁ノロ殿肉で実施した記録である。沖縄県那覇市で実施した質問紙調査では不思議現象に対する態度構造の分析および類 型化尺度の 30項目にユタに関する 1項目と性格に関する3 項目を加えた34 項目について、88 名を調査対象とした結果 、恐怖に関連する項目において女性は男性よりも高いことが明らかにされた。沖縄県今帰 イニ 村で実施されたノロヘの問き取り閣査からは、従来のステレオクイプとしてノロは霊能を携えた司祭者としてとらえていたが、司祭者として粛々と祈ることが主な役割であることが推察された。
著者
脇本 忍
出版者
日本笑い学会
雑誌
笑い学研究 (ISSN:21894132)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.83-93, 2016 (Released:2016-12-20)

本研究は、落語に登場する女性が男性に対してつく嘘の動機と構造について検討した。落語はフィクションであり、そこに登場する人物の嘘の是非を問うものではなく、嘘が物語を成立させるための重要な言動になることもある。Ford(1996)の報告では、嘘の動機には、罰回避・自意識維持・攻撃的行動・支配感獲得・騙す喜び・願望充足・自己欺瞞強化・他者行動コントロール・他者援助・他者の自己欺瞞援助・役割葛藤解決・自負心保全・アイデンティティ獲得の13種類があるとされてきた。本研究では、女性が嘘をつく落語作品から、「紙入れ」「星野屋」「芝浜」の3作品に注目し、それらの作品の嘘の動機と照合しながら、各作品に登場する女性たちの嘘について分析を試みた。その結果、「紙入れ」では罰回避と他者支援、「星野屋」では願望充足と他者行動コントロール、「芝浜」では他者援助と罰回避、さらに自負心保全の動機があることが考えられた。男性目線で創作され演じられてきた落語における女性の嘘には、心理的性であるジェンダーの視点から、嘘をついても許せる女性像と、理想の女性像に連関する要因が含まれていることが推察できた。