著者
芋生 憲司 森嶋 博 瀬尾 康久 澤田 達也
出版者
The Japanese Society of Agricultural Machinery and Food Engineers
雑誌
農業機械学会誌 (ISSN:02852543)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.67-74, 1993 (Released:2010-04-30)
参考文献数
10

果実の品質を非破壊で迅速に評価する方法の一つとして, 果実を平板上に落下させた際に受ける衝撃荷重に関する研究を行った。果実の質量, 速度および力学的物性が衝撃荷重に及ぼす影響を理論的に示し, 果実硬度を示すパラメータの計算方法を提案した。この値は衝撃荷重と果実の質量から計算され, 衝突速度を特定する必要はない。実験は加様々な熟度のキウイフルーツを用いて行い, 衝撃荷重を測定, 解析すると同時に非破壊果実硬度, 糖度および酸度を測定し, 衝撃荷重から求めた硬さ指数とこれらの測定値の関係を示した。
著者
芋生 憲司 横山 伸也 海津 裕 岡本 嗣男
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

自律走行や,精密農法で必要となるナビゲーションシステムを低コストで実現するために,高精度の超音波速度計,光トランスポンダ方式による測距装置,およびオプティカルフローによる移動ベクトル検出の開発研究を行った。主な研究成果は以下の通りである。超音波速度計については、著者らが以前に開発した超音波ドップラー速度計を改良し,精度を向上させた。これによりコンクリート面のような滑らかな路面でも安定した測定が可能になった。屋外での車載試験でも良好な結果が得られた。また擬似植物を音波の反射対象とした実験を行い,測定が可能なことを確認した。しかし植栽の密度が低い場合は誤差が大きくなった。更に,横滑りも含めた速度ベクトルを測定する可能性を確認した。光トランスポンダによる位置測定については,一方向に限っての,拡散光による高精度の距離測定は可能であり,標準誤差は約3cmであった。しかし全周方向の測定器では方向による位相ずれが生じ,これを調節する必要があった。全周方向での測定では,日射量が少なければ,標準誤差は約5cmであった。日射量が多い時には,測定可能距離が短くなり,測定精度も低くかった。信号増幅等改良の必要がある。固定局2局と車載した移動局による位置測定は可能であったが,温度ドリフトの問題が残された。オプティカルフローによる移動ベクトル検出については、ハフ変換を用いることで計算時間を短縮した2つのプログラムを作成した。一回の計測のための計算に要する時間は,約0.3sであり,従来の二次元相関法に比べて大幅に短縮された。移動距離に対する移動ベクトルの測定誤差の割合の平均値は約5%であった。測定範囲は今回の設定では,DX,DY各±30mm以内であり、リアルタイム測定には更なる改良が必要である。
著者
志賀 徹 斉藤 高弘 芋生 憲司 中島 教博
出版者
宇都宮大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1992

本研究は環境ガス組成を変化させるCA貯蔵条件下での各種生鮮農産物の呼吸特性及び品質判定因子の変化を測定し、農産物の生理的特性及び品質変化を明らかにするとともに、最適CA貯蔵条件を検討したものである。1.生シイタケは酸素濃度を減少させるか、二酸化炭素濃度を増加させることにより著しく呼吸速度が減少した。環境ガス制御が生シイタケ生体中のpHの減少を抑制することが測定され、低い(酸性が高い)領域で活性を増すPPO活性の抑制効果が確認された。加えて酸素濃度を下げることによりL-アスコルビン酸含量が高く維持された。これらを総合的に評価して、20%の二酸化炭素濃度における10%または5%の酸素濃度のCA貯蔵条件が他の処理条件より生シイタケの品質保持に効果があると判断された。2.イチゴは高い二酸化炭素濃度に対して比較的大きな許容性を持ち、二酸化炭素濃度が高いほど呼吸速度が低下した。二酸化炭素を増加させることは、イチゴ果実の果肉部の硬度の減少を抑制し、果皮色の退化を防止する効果となって現れ、かつL-アスコルビン酸含量の貯蔵中における減少を抑制した。カビの発生に対する防止からも20%の二酸化炭素濃度は効果的であった。アスパラガスは、酸素濃度の減少が二酸化濃度の増加より以上に呼吸速度の減少に与える効果が顕著であった。10%の酸素濃度下では二酸化炭素が高くなるほどアスパラガスの貯蔵中の伸長量が低く抑えられら。また低酸素濃度では硬さの保持効果が見られた。CA貯蔵条件下では空気中におけるよりクロロフィル濃度の減少が抑制され、果皮色が良好に保持された。糖含量はCA貯蔵条件下で20日後まで低下が抑制された。各種農産物の呼吸の温度に対する依存性はアレニスの式及びゴアの式によく適合し、温度により呼吸速度は指数関数的に増加した。また農産物のQ_<10>(温度10°C上昇時の呼吸速度の増加割合)は低温域で高い値を示し、温度が高くなるにつれ小さくなった。アスパラガス、ブドウ及びイチゴの呼吸速度は他の品目に比べ酸素濃度変化への依存性が高く、特徴ある挙動を示した。