著者
芦澤 充 乾 敏郎
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.6, 2008 (Released:2008-11-10)

本研究では,心的回転を自己中心座標で表現された物体の心的イメージが自己の仮想的な運動指令によって回転される認知過程であり,頭頂葉が重要な役割を果たしていると考えてモデル化を試みた.モデル1では,物体軸の三次元的勾配に選択的なニューロン,運動速度に選択的なニューロン,運動系の信号によって出力が調節されるニューロンといった,いずれも頭頂葉に存在が示唆されているニューロンをモデル化し,シミュレーション実験によって,ニューロン集団の活動パターンで表象された三次元空間上のスティックの勾配が,与えられた回転速度に応じて徐々に変化する過程を再現できた.この結果は,前述の仮説を支持するものである.また,モデル1を拡張したモデル2では,自己の運動情報と,それに応じて変化するスティックの二次元的勾配情報の統合により,スティックの三次元的勾配を知覚する認知過程を再現できた.
著者
芦澤 充 乾 敏郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.353, pp.7-12, 2008-12-06
被引用文献数
2

我々は,心的回転を自己中心座標で表現された物体の心的イメージが,自己の仮想的な運動によって回転される認知過程であると仮定し,神経メカニズムの解明を試みている.最近の研究では,頭頂葉のCIPおよびAIPと呼ばれる領域が,それぞれ対象の自己中心的立体表現,視覚と運動の統合に重要な役割を果たしていると考えられている.本研究では,これらの知見を踏まえた神経回路モデルを提案し,提案モデルが三次元心的回転を部分的に再現可能であることを示す.