著者
芳賀 穣 屶網 慶 竹内 俊郎
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.782-790, 2005 (Released:2005-10-07)
参考文献数
29
被引用文献数
8 9

真の両面有色の発現過程を明らかにするため,主に F~G ステージ(全長 8.0±0.75 mm)で構成されるヒラメ仔魚を全トランスレチノイン酸(atRA)に 5 日間暴露して,真の両面有色型黒化を誘起後,約 4 日毎に皮膚を採取し,透過型電子顕微鏡で皮膚の微細構造を調べた。孵化後 30 日前後で atRA 区ではメラノファージが見られず膠原繊維層板下に幼体型黒色素胞が見られた。孵化後 40 日目以降,対照区では無眼側皮膚の膠原繊維層板下に虹色素胞のみが見られたが,atRA 区では黒色素胞,黄色素胞および虹色素胞が見られた。
著者
李 凰玉 芳賀 穣 近藤 秀裕 廣野 育生 佐藤 秀一
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.333-346, 2019

<p>植物性蛋白源により完全に魚粉を代替した無魚粉飼料(NFM)にタウリンを段階的に添加した飼料を10週間与えたマダイの成長,消化吸収率,腸管の形態ならびに炎症性サイトカイン遺伝子の発現に対する効果を調べた。魚粉主体飼料(FM)区では日間成長率(SGR)と増重率(WG)が NFM 区よりも有意に高く,タウリン添加による改善は見られなかった。FM 区の飼料効率とタンパク質効率は,NFM+1.0T 区および NFM+1.5T 区よりも有意に優れたが,NFM+2.0T 区の間では飼料効率に差がなかった。NFM+1.0T 区以外では FM 区と同等のタンパクと脂質の消化率が見られた。NFM 区では,腸管の粘膜下層において典型的な大豆による腸管障害である好中球の浸潤が見られ,サイトカインの発現も FM 区よりも有意に高かった。NFM 区の遺伝子の相対発現レベルはタウリンの添加により有意に低下した。以上の結果より,マダイではタウリンの添加は植物原料を配合した NFM による炎症反応等の一部を緩和することが示唆された。</p>
著者
佐藤 秀一 芳賀 穣 近藤 秀裕
出版者
東京海洋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

淡水魚と海水魚は、栄養要求は大きく異なっている。特に脂肪酸要求やアミノ酸関連物質であるタウリンの要求が異なっている。そこで、タウリン合成に関与するシステイン硫酸脱炭酸酵素の遺伝子の構造解析等をマダイ、ブリ、スズキ、マツカワについて行った。さらに、各器官・組織での発現を調べた結果、肝臓、幽門垂で強い発現がみられた。またひらめにおけるDHAおよびタウリン含量の異なる餌料および環境水中の塩分量がDHAおよびタウリンの合成酵素遺伝子の発現に及ぼす影響を調べた。餌料中のDHAおよびタウリン含量ならびに塩分の変化によって、DHAおよびタウリン合成酵素様遺伝子の発現量が変動することが明らかとなった。