著者
若木 太一
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学総合環境研究 (ISSN:13446258)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.A1-A14, 2007-08

長崎諏訪神社に伝来する謡曲「諏訪」の諸本を検討し、本文と構成、作者と成立時期、および本曲の主題と時代的背景を考察する。「諏訪」の本文を翻刻紹介し注釈を行う。また作者を能役者早水治部と伝承する根拠を掲げ、あわせて諏訪神社の能楽上演の歴史的記録を付す。
著者
若木 太一
出版者
長崎大学教養部
雑誌
長崎大学教養部創立30周年記念論文集(Bull. Faculty of Liberal Arts)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.一-一六, 1995-03-27

天和二年(一六八二)十月大坂で出版された『好色一代男』八巻八冊は、その後多くの風俗小説の出現をうながし、いわゆる浮世草子の創始を飾る作品として文学史の上でも画期的意味をもつ。その時代の欲望を表象する主人公「一代男」世之介は、どのような背景から生み出されたのか。『一代男』巻八の五 < 都のすがた人形 > は長崎を舞台とする一章であるが、本書執筆以前に西鶴の長崎来遊の足跡は認められない。そこで延宝九年(一六八一)刊の遊女評判記『長崎土産』の記事との比較をすると、巻頭の巻一の一 < けした所が恋のはじまり > 及び巻末の巻八の五 < 床の責道具 > の章との濃密な影響関係を指摘できる。すなわち西鶴は『長崎土産』の案内者「嶋原金捨」を原型として主人公世之介の出自・境遇・性格・趣味等の属性を付与し、造型したと考えられる。本稿は、両書の文章や構想・設定を具体的に比較・検討して、『長崎土産』が『一代男』の一原拠であることを考証する。
著者
若木 太一 高山 百合子 不破 浩子
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

唐通事・異国通詞および周辺の唐話学者(稗官の徒、小説家)たちが編纂した唐話辞書の探索、書誌的調査、及び翻訳語彙の分析えを通して、日本近世文学・語学に及ぼした日中言語文化の顕著な相互影響を解明を目的とした4年間(平成9年度〜同12年度)の研究成果は次の通りである。1)唐話辞書、唐話学書の所在調査・書誌調査など基礎調査をカード化した。唐通事の諸家において編纂された唐話辞書、及び出版された唐話学書、あるいは翻訳書等の所在調査を行い、書誌をとり目録化した。(国文学研究資料館、東京大学図書館、慶応大学図書館、松平文庫、長崎県立図書館その他)2)「唐話辞書・通俗書略年表」をまとめた。「唐話辞書類従」(長沢規矩也解題)などに収載する唐話辞書・通俗書よび唐話学関係の文献・データなど既存の基礎目録を確認し、国文学研究資料館、国会図書館、国立公文書館等の唐話辞書の調査を基礎に、新資料を加えた目録「唐話辞書・通俗書略年表」を作成した。3)唐話辞書の語彙・内容の分析研究分担者の協力をえて辞書の翻刻、語彙の分析などを行い、索引を制作した。*『訳詞長短話』巻一の翻刻と解題*『東京異詞相雑解』の総合語彙索引4)『唐話辞書と翻訳語彙の研究-日中言語文化交渉史-』の報告書を制作した。これまで資料の発掘や収集の基礎調査と各辞書の図書館・文庫所蔵の唐話辞書、通俗書などの調査をふまえた「唐話辞書・通俗書略年表」、『訳詞長短話』の翻刻、『東京異詞相雑解』の総合語彙索引、唐通事の生活と文事等を収載。