著者
佐々木 周作 若野 綾子 平井 啓 大竹 文雄
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.91-94, 2017 (Released:2017-06-01)
参考文献数
12

看護師は利他的であることが望ましい,という通説がある.しかし,本研究は,行動経済学の利他的選好のうち,“純粋な利他性”を強く持つ看護師ほど心理的に燃え尽きやすいことを実証的に示した.本研究では,日本国内の医療機関に勤務する看護師501名を対象にインターネット・アンケート調査を実施し,その中の仮想的実験質問を使って看護師の利他的選好の種類を識別した.重回帰分析の推定結果から,他人の効用が自分の効用と正に相関する純粋に利他的な看護師は,いずれの種類の利他性を持たない看護師に比べバーンアウト指標の中の情緒的消耗感が高いこと,また,精神安定剤・抗うつ剤を常用している可能性が高いことがわかった.