著者
間嶋 寛紀 赤井 純治 茅原 一也 中牟田 義博 松原 聡
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
日本鉱物学会年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.138, 2003 (Released:2004-07-26)

新潟県青海・糸魚川地域のヒスイ輝石岩中にはヒスイ輝石岩形成以降に形成された二次的な脈が多く存在し,ここからはSrを主成分とする鉱物が多く産したが,蓮華石もその一つである 蓮華石(rengeite)Sr4ZrTi4 (Si2O7) 2O8は新潟県西部,青海・糸魚川地域の蛇紋岩メランジ中に含まれるヒスイ輝石岩から発見された(Miyajima et al.,2001).蓮華石は単斜晶系に属し,格子定数はa=13.97(1),b=5.675(7),c=11.98(1)Åである. 今回新潟県青海町産白色ヒスイ輝石岩を調べている中で二次的な脈の中から蓮華石様鉱物を見出した。肉眼あるいは双眼実体顕微鏡下では淡灰色から暗青灰色の色を示し長さ1mm以下の脈状集合体または長さ0.2mm以下の短柱状自形結晶をなして産する.共生鉱物は脈を埋めて産するソーダ沸石と,初生的に形成されたジルコンである.ヒスイ輝石は0.5mm以下の自形から半自形で,しばしば脈状に著しい破砕を受けている.この蓮華石様鉱物の短柱状の形態はこの試料以外ではほとんど見られず,他の試料では蓮華石は放射針状の結晶集合体をなすことが多い.本試料は偏光顕微鏡下では濃青色から淡褐色の強い多色性を示すものと,多色性を示さないものとがあり,短柱状の単結晶の柱面に平行にzoningしているものが多い.通常の薄片の厚さではわからないが,イオン研磨により極めて薄くした薄片ではクロスニコルでバンド状の組織が認められることがある.この蓮華石様鉱物は非常に小さいため,イオン研磨にて試料を作り,透過型電子顕微鏡で解析した.EDSによる定量分析では組成はSiO2=23.0,TiO2=28.3,Fe2O3=0.4,SrO=41.3,ZrO2=6.7,Nb2O5=0.4 wt.%という値が得られた.電子線回折では蓮華石のd001周期が2倍の位置に回折スポットを示し,いくつもの回折パターンの特徴から蓮華石の多形,斜方晶系相と解釈される.Auを標準としたEDパターンの解析から,この鉱物の格子定数はa=14.0,b=5.7,c=21.9Åである.この斜方晶系単位格子は,輝石,角閃石等と類似の,単斜晶系単位格子が格子レベルでの双晶を作った格子関係にある.高分解能像では双晶構造に対応する像が解像される.なお,蓮華石の原構造ともいうべきperrierite (Ce,La,Ca,Sr)4FeTi4 (Si2O7) 2O8,chevkinite(Ce,Ca,Th)4(Fe,Mg) (Ti,Mg,Fe) 4(Si2O7)2O8には斜方晶系の報告はされていない.この蓮華石様鉱物については現在ガンドルフィーカメラ,XMA他でさらに検討中である.
著者
八木 健三 茅原 一也
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.22-28, 1963
被引用文献数
1

男鹿半島南海岸双六部落の凝灰角礫岩中の角礫として,少量ながらコメンド岩が産出する.その地質層準は中部中新世の男鹿層群中の立由崎凝灰岩部層と考えられる.その構成鉱物はサニデイン,石英,アルフェド角閃石,エジリン及び鉄鉱などで,化学組成はSiO2.とNa2Oにとみ,典型的なコメンド岩に属する.これは東北日本におけるコメンド岩の最初の産出で,第三紀火成活動史よりみて,その岩石区的意義を検討した.
著者
茅原 一也 布施 弘
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.69, no.814, pp.324-325, 1963-07-25