著者
宮島 良子 金村 久美 佐藤 綾 レイン 幸代 松尾 憲暁 茅本 百合子 MIYAJIMA Ryoko KANAMURA Kumi SATO Aya LENG Yukiyo MATSUO Noriaki KAYAMOTO Yuriko
出版者
名古屋大学国際教育交流センター
雑誌
名古屋大学国際教育交流センター紀要 (ISSN:21889066)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.49-55, 2014-10-01 (Released:2014-11-18)

名古屋大学大学院法学研究科・法政国際教育協力研究センターは,体制移行国において日本語で日本法が研究できる人材を育成するという目標を掲げ,日本法教育研究センター(以下,日本法センター)において,協定大学の学部生を対象に約4年間の法学分野に特化した専門日本語教育,約2年間の日本語による法学教育を実施している。各地の日本法センターが共通して抱える課題である,学習動機の維持・強化,高度で難解な専門日本語の習得促進,教員研修などの課題解決の一助として,テレビ会議システム(以下,テレビ会議)を活用した多国間を繋いだ教育活動が継続的に行われている。日本語教育活動の具体例の一つとして,プロジェクトワークの発表が多国間で実施されている。これらの活動は,自分の所属する日本法センターの学生の発表だけでなく,他の日本法センターの学生の発表も観察することができ,また,発表に対する相互評価なども実施することで,他の日本法センターの学生や教師から助言を得る機会になっている。本稿では,テレビ会議の利用に関する質問紙調査を実施し,テレビ会議の日本語教師への影響・効果に注目して,テレビ会議の教育利用が内省ツールとして果たす役割について報告する。
著者
茅本 百合子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.315-322, 2000-09-30

日本語を学習している中国語母語話者(上級学習者)が漢字を日本語で読み上げるとき, その漢字の音読みが母語の中国語の発音に似ていると, 似ていない発音の漢字を読み上げるときより反応時間が短くなった。また, 通常訓読みで読まれる漢字よりも通常音読みで読まれる漢字のほうが反応時間が短かった。これは, 漢字を日本語で読む際にも母語の音韻情報が活性化するためであると考えられ, 中国語音起源でない訓読みも, 音韻情報の一部として心内辞書に収められていることが要因であると考えられた。そして, 異言語間で共用されている漢字という文字にそれらの言語の音韻情報が備わっていることが示唆された。一方, 日本語学習歴がさらに長く, 超上級と言われるレベルに達している学習者は, エラーも少なく, 反応時間は, 日本語と中国語の発音の類似には影響されなかった。