著者
佐藤 綾
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR ANIMAL PSYCHOLOGY
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
pp.68.1.9, (Released:2018-06-08)
参考文献数
49

The guppy (Poecilia reticulata), a polyandrous livebearing fish, is a model organism in the study of sexual selection. This species exhibits sexual dimorphism, such as male body coloration (orange, black, or iridescence color spots). Although there is evidence of a preference for colorful males in female mate choice, a wide variation in male color patterns is found even in a population. Recently, there has been an increase in studies examining the postcopulatory processes involved in sperm competition and cryptic female choice in this species. If male traits that favor sperm competition and/or cryptic female choice correspond with traits preferred in female mate choice, then postcopulatory processes will reinforce the selection to colorful males. In contrast, if males with traits preferred by females are not favored by sperm competition and/or cryptic female choice, then postcopulatory processes will weaken the selection to colorful males. In this paper, I review studies of the relationships between male guppy coloration and female mate choice, sperm competition, and cryptic female choice, and discuss the possible factors that maintain the variation in male coloration.
著者
山野井 貴浩 佐藤 綾 古屋 康則
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.285-291, 2018-11-30 (Released:2018-12-05)
参考文献数
22

「種族維持」とは生物は種を維持する, あるいは仲間を増やすために繁殖するという概念であるが, 現代の進化生物学では否定されている概念である。しかしながら, 小中高の理科学習を終えた大学生であっても「種族維持」の認識を有している可能性がある。そこで本研究は, 種族維持の認識を問う質問紙を作成し, 5つの大学に通う大学生629名を対象に質問紙調査を行った。その結果, 半数以上の学生が種族維持の認識を有していること, 高等学校生物の履修や大学における進化の講義はその認識に影響していないことが示唆された。また, 高等学校生物や大学における進化の講義を履修した学生の方が, 血縁選択説や利他行動について知っていると回答した割合は高いという結果が得られた。誤概念を変容させるために, これらの用語を扱う高等学校生物や大学の進化の講義の授業方法を改善していく必要がある。
著者
佐藤 綾
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.103-110, 2008-05-30 (Released:2018-02-09)
参考文献数
65
被引用文献数
4

ハンミョウ(コウチュウ目ハンミョウ科)は、山道や河原などの裸地に見られる肉食性の昆虫である。成虫は、昼間に裸地上を走り回って、アリなど小さな節足動物を捕らえて食べる。一方で幼虫は、地面に縦穴を掘って、入口に頭を出して待ち伏せし、通りかかった小動物を捕らえる。海辺に生息する海浜性ハンミョウは、日本では6種類見られ、同じ海岸に複数種が共存することもある。近年、護岸などの人為的改変によって自然海岸が激減し、それに伴い海浜性ハンミョウの絶滅が危惧されるようになった。一方で、海浜性ハンミョウを自然海岸の指標生物として注目し、天然記念物に指定するなどの保全対策を打ち出す地方自治体が出てきた。本稿では、海浜性ハンミョウについて、その生態、現状、減少をもたらす要因、そしてその保全対策について紹介しつつ、海浜性ハンミョウに注目した自然海岸の保全対策を打ち出すことの意義を強調したい。
著者
佐藤 綾 上田 哲行 堀 道雄
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.21-27, 2005
参考文献数
16
被引用文献数
1

1. 石川県羽咋郡甘田海岸において, 打ち上げ海藻を利用する小型動物相と, それを餌とする高次捕食者であるイカリモンハンミョウ成虫の捕食行動を調査した.海浜性のイカリモンの成虫は, 石川県では6月中旬∿8月に見られ, 砂浜の汀線付近で餌探索する.2. 打ち上げ海藻より採集された小型動物には, ハマトビムシ科の幼体, ヒメハマトビムシ, フトツヤケシヒゲブトハネカクシ, ケシガムシ属が多く見られた.3. イカリモンの成虫の捕食行動を, 個体追跡により観察した結果, イカリモンは, ハマトビムシ類の幼体を多く追跡あるいは捕食していた.また, 砂浜に埋めたピットホールトラップからは, 多くのハマトビムシ類の幼体が得られた.4. 本研究より, 打ち上げ海藻(一次資源)-ハマトビムシ類(腐食者)-イカリモン(捕食者)という砂浜海岸における生物間関係の一つが明らかとなった.
著者
佐藤 綾
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR ANIMAL PSYCHOLOGY
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.89-97, 2018 (Released:2018-06-27)
参考文献数
49

The guppy (Poecilia reticulata), a polyandrous livebearing fish, is a model organism in the study of sexual selection. This species exhibits sexual dimorphism, such as male body coloration (orange, black, or iridescence color spots). Although there is evidence of a preference for colorful males in female mate choice, a wide variation in male color patterns is found even in a population. Recently, there has been an increase in studies examining the postcopulatory processes involved in sperm competition and cryptic female choice in this species. If male traits that favor sperm competition and/or cryptic female choice correspond with traits preferred in female mate choice, then postcopulatory processes will reinforce the selection to colorful males. In contrast, if males with traits preferred by females are not favored by sperm competition and/or cryptic female choice, then postcopulatory processes will weaken the selection to colorful males. In this paper, I review studies of the relationships between male guppy coloration and female mate choice, sperm competition, and cryptic female choice, and discuss the possible factors that maintain the variation in male coloration.
著者
佐藤 綾佳
雑誌
文学会論叢
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.121-140, 2016-03-15
著者
佐藤 綾
出版者
日本動物心理学会
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.68, no.1, pp.89-97, 2018

<p>The guppy (<i>Poecilia reticulata</i>), a polyandrous livebearing fish, is a model organism in the study of sexual selection. This species exhibits sexual dimorphism, such as male body coloration (orange, black, or iridescence color spots). Although there is evidence of a preference for colorful males in female mate choice, a wide variation in male color patterns is found even in a population. Recently, there has been an increase in studies examining the postcopulatory processes involved in sperm competition and cryptic female choice in this species. If male traits that favor sperm competition and/or cryptic female choice correspond with traits preferred in female mate choice, then postcopulatory processes will reinforce the selection to colorful males. In contrast, if males with traits preferred by females are not favored by sperm competition and/or cryptic female choice, then postcopulatory processes will weaken the selection to colorful males. In this paper, I review studies of the relationships between male guppy coloration and female mate choice, sperm competition, and cryptic female choice, and discuss the possible factors that maintain the variation in male coloration.</p>
著者
佐藤 綾
出版者
一般社団法人 日本生物教育学会
雑誌
生物教育 (ISSN:0287119X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.83-94, 2018 (Released:2018-10-29)
参考文献数
27

小学校理科では,野外での生物観察など自然との関わり合いの中で児童が問題を見出すことが求められている.一方で,小学校教員や教員を目指す大学生は野外での生物観察の指導に不安を感じていることが指摘されている.本研究では,野外での生物観察を行う単元において,教科書で取り扱われる頻度が高い生物,その中でも特に学生が知らないと感じている生物を明らかにすることで,小学校の教員を目指す大学生が野外での生物観察を指導する自信を高める大学での効果的な支援を探るための基礎資料を提供する.小学校理科の教科書に記載されている生物を調査した結果,全体で190の動物と134の植物が記載されていた.その中で「昆虫と植物」,「身近な自然の観察」,「季節と生物」の野外での生物観察を行う単元で記載されていた動植物は3~6学年全体で記載されている生物の約半数(54.2%)を占めていた.一方で,単元間で共通して見られた生物,出版社間で共通して見られた生物は動物38,植物30のみであった.教員養成学部の大学生を対象とした調査から,教科書に記載されている生物のうち,動物では鳥類,植物では野生草本について,その生物を知らないと回答する学生が多いことが明らかとなった.以上のことから,大学の授業においては,単元間,出版社間で共通して見られる生物をまず取り上げること,特に鳥類と野生草本を授業の材料として取り上げることで,小学校教員を目指す大学生が野外での生物観察を将来指導するための基礎的な知識を効果的に高めることができると考えられる.
著者
佐藤 綾花 神先 秀人
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】ファッションや仕事上の理由でヒール靴を着用している女性は多い。ハイヒール靴着用は,ヒールを上げることで腰椎の前彎が過度に増大し,腰痛を誘発する可能性が報告されているが,立位姿勢では脊柱彎曲角に影響を与えるとはいえないという報告や,逆に腰椎の前彎が減少するといった報告もあり,統一した見解はなされていない。また,歩行に関しては,ハイヒール着用で骨盤が後傾したとの報告はあるが,ヒール高を変化させて検討した研究は見当たらない。さらに,ヒール靴への慣れによる影響を検討した報告も見当たらない。今回,ヒール靴常用者と非常用者の立位姿勢の違いおよび歩行時のヒール高の違いによる体幹・骨盤,下肢の関節角度や筋活動への影響を明らかにすることを目的に運動学ならびに運動力学的分析を行うとともに,腰痛との関連性について検討した。【方法】対象は整形外科的疾患や中枢神経疾患の既往のない健常成人女性で,ヒール靴常用群10名(年齢:21.3±0.8歳,身長:159.0±2.7cm,足長:22.9±1.1cm),非常用群10名(年齢:21.5±0.5歳,身長:160.9±5.3cm,足長:22.8±0.9cm)の計20名である。常用群と非常用群の規定は,週の3日以上で5cm以上のヒール靴を履いている者を常用群,それ以外の者を非常用群とした。ヒール靴は,ヒール高3cm,5cm,7cmのパンプスを使用した。立位姿勢および歩行時の運動学・運動力学的分析には,三次元動作解析装置(VMS社製,VICON-MX)と4台の床反力計(KISTLER社製)を用い,下肢関節,体幹・骨盤の角度,関節モーメントを測定した。立位姿勢の評価は裸足にて計測を行い,歩行は,裸足と,高さの異なる3種類のパンプス装着の合計4課題を設定した。三次元動作解析にはPlug-in-gait全身モデルを用い,身体の35点にマーカーを貼付した。三次元計測のサンプリング周波数は50Hzで,床反力計測のサンプリング周波数は1000Hzとした。解析は立位時の各関節角度および歩行中の各関節最大角度と最大モーメントを対象とした。正規性の検定後,ヒール高の違いによる比較は反復測定分散分析および多重比較を,常用群と非常用群の比較はt検定またはマンホイットニーのU検定を用い,有意水準は5%とした。【結果】立位姿勢では,ヒール靴常用群は非常用群と比較し,体幹の伸展(骨盤に対する胸椎軸の角度)が有意に大きく,膝関節では屈曲,足関節では背屈角度の増加傾向がみられた。歩行時においても,常用群は非常用群と比較して全ての条件で体幹伸展角度が有意に高い値を示した。また,非常用群ではヒール高が高くなる程,膝関節屈曲角度の増加,膝関節伸展モーメントの増加がみられ,常用群では体幹伸展角度の減少,骨盤傾斜角度の減少がみられた。【考察】ヒール靴常用群では,立位時および歩行時に体幹の伸展角度の増大が認められた。これは,立位や歩行において,ヒール靴着用により前足部への圧力が高まるという報告があることから,常用群ではヒール靴着用時の前足部への荷重が習慣化され,裸足時においても前方に荷重する傾向が高まる可能性が考えられた。そのため,骨盤の前傾や前方移動が生じ,それにより前方偏位した重心を後方に戻すための代償として,体幹の伸展角度が大きくなるのではないかと考えられる。歩行におけるヒール靴着用による影響に関しては,ヒールの高さが増すに従い,非常用群では膝関節屈曲角度と膝伸展モーメントの増加がみられ,常用群では体幹伸展角度の減少,骨盤前傾角度の減少がみられた。踵接地後の膝関節屈曲と足関節底屈は衝撃吸収として作用するとされており,ヒール靴着用による踵接地時の足底屈運動範囲の低下は,足関節での衝撃吸収を困難にする。そのため,特に非常用者では,膝関節の屈曲を増加させることで膝関節での衝撃吸収を高めている可能性が示唆された。一方,常用群では外観上の問題などで膝を伸展させて歩行しようとするため,体幹伸展角度の減少や骨盤前傾角度の減少がみられたのではないかと考えられた。本研究結果から,常用群と非常用群では裸足時の立位姿勢に違いがあり,常用者では体幹の伸展が大きく,裸足歩行において骨盤前傾が強いことも加え,これらが腰痛をもたらす一因となっているのではないかと考えられる。【理学療法学研究としての意義】ヒール靴常用者の立位や歩行中の姿勢の特徴を明らかにした。ヒール靴常用者では裸足時に体幹の伸展および骨盤の前傾が強まり,このことが腰痛をもたらす一因となる可能性が示唆された。
著者
小島 仁志 佐藤 綾香 金澤 朋子 小谷 幸司 島田 正文
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.719-722, 2017
被引用文献数
1

<p>The objective of this study was to evaluate observer's impressions of roost containing behavior and to assess the effectiveness of awareness efforts regarding the conservation of the barn swallow (<i>Hirundo rustica</i>), which is endangered in Japan. In Kanagawa Prefecture retarding park, a group of observers habitually meets to observe the roost containing of the barn swallow, and a questionnaire was administered to 97 participants recruited from this group. Analysis using the semantic differential method revealed the impressions of swallow roost containing to be as follows: 1) There was a high tendency to have a positive impression with or without observation experience. 2) There was a tendency to feel the beauty, a sense of oneness with nature and the life force. The questionnaire description had many comments that awareness regarding swallow conservation has improved, and that observation of the roost containing educates the public about the environment. Observation of the visual scene created by the roost containing the swallows was found to contribute to improving awareness regarding the conservation of swallows in Kanagawa Prefecture.</p>
著者
佐藤 綾
出版者
日本土壌動物学会
雑誌
Edaphologia (ISSN:03891445)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.53-58, 2009-08-31 (Released:2017-07-20)
参考文献数
34

潮間帯は,約12.4時間周期の干満(潮汐サイクル)の影響を受け,満潮になると冠水し,干潮になると地面が露出する.また,満潮時の水位は約2週間の周期で変化しており,大潮の時期に最高となり,小潮の時期に最低となる.陸生である地表性昆虫は,生息地が冠水する満潮時には活動できず,潮間帯に進出した種は満潮時の危険(溺死など)を回避するための戦略を進化させている.本稿では,潮間帯に生息する地表性昆虫の示す活動リズムとその体内時計について概説し,満潮時の冠水に対応した戦略について考えた.マングローブスズ(Apteronemobius asahinai)やオキナワシロヘリハンミョウ(Callytron yuasai okinawense)などのいくつかの地表性昆虫は,野外の潮汐サイクルに合わせた活動を示し,恒常条件下においても約12.4時間周期の活動リズム(概潮汐リズム)が継続する.つまり,これらの昆虫類は,潮汐に対応した体内時計を使って活動を干潮時に合わせていると考えられた.一方で,他の地表性昆虫では,潮汐に同調する体内時計の獲得とは異なる方法で満潮時の冠水に対応していた.例えば,オサムシ科のDicheirotrichus gustaviは,冠水の危険のない小潮の時期には夜間に活動するが,大潮の時期には活動パターンを変えて夜間の干潮時でも活動せず一日中地面下に潜んだままとなる.
著者
佐藤 綾美 岡本 崇 山田 崇恭 泉井 一浩 西脇 眞二
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.83, no.850, pp.17-00135-17-00135, 2017 (Released:2017-06-25)
参考文献数
17

We construct a topology optimization method for two dimensional rarefied gas flow problems, based on level-set boundary expressions. The degree of rarefaction is expressed by the Knudsen number, which is the ratio of the mean free path and the characteristic length of the system. As the Knudsen number approaches 0 in the limit, flow behaviors can be described by Navier-Stokes equations and topology optimization methods for such flows have already been proposed. On the other hand, the governing equation for flows which have a large rarefaction is the Boltzmann equation and topology optimization methods for such flows have not been seen. This paper presents the topology optimization method for rarefied gas flows whose Knudsen number is approximately 1, aiming at an application for the design of flow channels in micromachines. We use the Bhatnagar-Gross-Krook (BGK) model of the Boltzmann equation and extend it to the entire design domain that includes both rarefied gas and solid domains. First, we briefly discuss the Boltzmann equation and the level set-based topology optimization method. Second, an optimization problem is formulated to address the design of flow channels that aim to maximize the flow velocity induced along a temperature gradient. Finally, several numerical examples demonstrate the validity and usefulness of the proposed method.