- 著者
 
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             草野 智洋
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 日本カウンセリング学会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - カウンセリング研究 (ISSN:09148337)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.45, no.1, pp.11-19, 2012 (Released:2016-03-16)
 
          
          
          - 参考文献数
 
          - 37
 
          
          
        
        
        
        本研究では,大学生373名に対する質問紙調査の結果から,大学生のひきこもり傾向と人生の意味・目的意識との関連について検討した。ひきこもり傾向の下位尺度である他者からの評価への過敏さ,孤立傾向,自己否定・不全感のうち,孤立傾向については男性のほうが女性よりも,他者からの評価への過敏さについては女性のほうが男性よりも,有意に得点が高かった。男女ともに,自己否定・不全感と人生の意味・目的意識との関連が最も大きかった。ひきこもり傾向の高い群と低い群とで人生の意味・目的意識の内容を比較したところ,主体性,実存的充足,自殺観において,男女ともにひきこもり傾向の低い群のほうが高い群よりも有意に高い得点を示した。一方で,未来受容,死生観,病気・苦悩観については,男女とも両群に差はみられなかった。大学生のひきこもり傾向と人生の意味・目的意識との間に関連があることが示され,大学生が自らの人生に主体的に関わり,人生に意味や目的を見いだしていくことが,ひきこもりの予防にもつながる可能性が示唆された。