著者
上埜 剣吾 荒金 兆典 浅井 睦代 川田 暁 手塚 正
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association/Meeting of Keiji Dermatological Association
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.466-470, 2004

患者は38歳,女性。急性扁桃腺炎の診断により近医でクリンダマイシンの点滴と塩酸ミノサイクリンの内服を受けたところ,多型滲出性紅斑様の皮疹が出現したため当院紹介となった。発熱と軽度の肝機能異常を伴っていた。クリンダマイシン,ミノサイクリンの使用を中止し,ホスホマイシン内服に変更したうえで,プレドニゾロン30mg/日の内服を開始したところ皮疹は改善し,発熱,肝機能も正常化した。経過中HHV-6のIgM抗体価,IgG抗体価は軽度から中程度の亢進を認めた。貼付試験を行ったところクリンダマイシン(10%,1%,0.1%)の各濃度全てに陽性反応を示し,HHV-6に誘発されたクリンダマイシンによる薬剤過敏症であると診断した。
著者
上埜 剣吾 荒金 兆典 浅井 睦代 川田 暁 手塚 正
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.466-470, 2004

患者は38歳,女性。急性扁桃腺炎の診断により近医でクリンダマイシンの点滴と塩酸ミノサイクリンの内服を受けたところ,多型滲出性紅斑様の皮疹が出現したため当院紹介となった。発熱と軽度の肝機能異常を伴っていた。クリンダマイシン,ミノサイクリンの使用を中止し,ホスホマイシン内服に変更したうえで,プレドニゾロン30mg/日の内服を開始したところ皮疹は改善し,発熱,肝機能も正常化した。経過中HHV-6のIgM抗体価,IgG抗体価は軽度から中程度の亢進を認めた。貼付試験を行ったところクリンダマイシン(10%,1%,0.1%)の各濃度全てに陽性反応を示し,HHV-6に誘発されたクリンダマイシンによる薬剤過敏症であると診断した。
著者
松下 記代美 山田 秀和 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正 今野 元博
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.2, no.5, pp.462-465, 2003 (Released:2012-01-06)
参考文献数
10

48歳,女性。45歳時に子宮筋腫のため当院婦人科にて腹腔鏡下膣式子宮全摘出術を受けた。約3年後の平成10年5月頃より臍部の腫瘤に気付いた。臨床的に臍部に1.6 cm大のやや硬い境界明瞭な桃紅色の結節を認め,皮下に連続性の硬結を触れた。腹部エコーと腹部CTの画像診断によって,腫瘤が腹膜と連続していることが確認された。当院第2外科の協力のもと全身麻酔下に開腹,腫瘤摘出をおこなった。組織学的には表皮直下から腹膜まで連続性に膠原線維の不規則な増生と線維芽細胞の増殖が認められた。臨床経過,臨床症状および組織学的所見より腹腔鏡下手術後に生じた臍部のケロイドと診断した。今後,内視鏡子宮全摘術の増加するにつれて,臍部のケロイドの発生も増加することが予想される。
著者
松下 記代美 山崎 文恵 前田 晃 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.201-205, 2003

有棘細胞癌は一旦化学療法や放射線療法に抵抗性を獲得すると治療に難渋する場合が多く,効果的な治療法の開発が求められている。この観点から言うと,少なくとも対癌免疫能の再活性化は治療抵抗性の癌に罹患している患者に残された最後の可能性の一つである。そこで我々は浸潤性有棘細胞癌に対しインターロイキン2(IL-2)の腫瘍内投与を行い良好な結果を得たのでここに報告する。患者75歳,女性。右下肢の再発性の多発性有棘細胞癌に対し10日間IL-2の局所投与を行った。IL-2の投与により腫瘍のサイズは著明に縮小し,免疫染色を行ったところ腫瘍周囲にCD1a陽性細胞の浸潤,CD8陽性T細胞優位の細胞浸潤を認め,<I>in situ</I> TUNEL染色上腫瘍細胞のアポトーシスを認めた。以上の結果より治療抵抗性の皮膚SCCに対しIL-2腫瘍内局注は有効であることが示唆された。
著者
松下 記代美 山崎 文恵 前田 晃 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学
巻号頁・発行日
vol.2, no.3, pp.201-205, 2003

有棘細胞癌は一旦化学療法や放射線療法に抵抗性を獲得すると治療に難渋する場合が多く,効果的な治療法の開発が求められている。この観点から言うと,少なくとも対癌免疫能の再活性化は治療抵抗性の癌に罹患している患者に残された最後の可能性の一つである。そこで我々は浸潤性有棘細胞癌に対しインターロイキン2(IL-2)の腫瘍内投与を行い良好な結果を得たのでここに報告する。患者75歳,女性。右下肢の再発性の多発性有棘細胞癌に対し10日間IL-2の局所投与を行った。IL-2の投与により腫瘍のサイズは著明に縮小し,免疫染色を行ったところ腫瘍周囲にCD1a陽性細胞の浸潤,CD8陽性T細胞優位の細胞浸潤を認め,<I>in situ</I> TUNEL染色上腫瘍細胞のアポトーシスを認めた。以上の結果より治療抵抗性の皮膚SCCに対しIL-2腫瘍内局注は有効であることが示唆された。
著者
阪本 ゆり 浅井 睦代 杉原 和子 織田 知明 荒金 兆典 川田 暁 手塚 正
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.305-309, 2000 (Released:2010-08-25)
参考文献数
9

47歳男性で神経ベーチェット病と考えられた1例を報告した。既往に10年間口腔内アフタと陰部潰瘍を繰り返していた。発熱, 右眼の複視, 口腔内アフタ, 陰部潰瘍を主訴に当科に入院し, 精査を行なった。神経学的には右外転神経麻痺による複視, 髄液検査で細胞数の増加がみられた。脳MRl所見で橋部においてT1強調画像の低信号域, T2強調画像の高信号域, 造影剤の増強効果が認められ, 橋部の炎症所見が示唆された。プレドニン内服によって皮膚症状と神経症状は著明に改善し, またMRI所見も改善が認められた。重篤な後遺症も認めなかった。自験例では脳MRI所見が神経症状の早期診断と治療効果の判定に有用であった。