著者
趙 希鵬 菅原 俊継 黒田 聡 有澤 準二 木村 主幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.406, pp.21-24, 2006-11-28
被引用文献数
4

フィトンチッドは、樹木が産生する殺菌性物質として従来から知られている。フィトンチッドの主成分は、いわゆるヒノキチオール(β-ツヤプリシン)と呼ばれる化合物で近年その殺菌作用や消臭効果などが注目され、フィトンチッドを含有した製品が次々と発売されている。しかし、その基本的な殺菌・抗菌作用機序についての科学的な裏付けや実験的検証がほとんどなく、効果の事例のみが先行しているのが現状である。我々は、ヒノキチオールを主成分とするフィトンチッド剤NSPP08を用いて本剤の殺菌・制菌効果について実験した実験に供したフィトンチッド剤は、それほど強力ではないが一定の殺菌力を有することを確認した。これに対して各種細菌の発育を抑制する効果については、含有フィトンチッド成分の換算値で8ppm程度を含有させるだけで制菌効果を示すことがわかった。また、本剤の殺菌機序を解明する目的で黄色ブドウ球菌の表層抗原を検出する検査キットであるスタフィロLAを用いてフィトンチッド処理後の表層抗原の変化を観察したが、明瞭な変化を観察できなかった。
著者
小幡 大輔 黒田 聡 菅原 俊継 早川 康之 清水 久恵 髙橋 昌宏
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual60, no.Abstract, pp.82_2, 2022 (Released:2022-12-01)

[はじめに]これまで我々は、磁性粒子を利用して血液回路関連の異常対応訓練シミュレータについて、主に透析の条件で検討してきた。今後、アフェレシスやECMO等への仕様拡大を目指しているが、特にアフェレシスのように低流量であると、磁性粒子が沈降して血液回路内を循環できない可能性が考えられた。そこで本報告では、磁性粒子が血液回路内で循環可能な限界流量について検証した。[方法]血液回路(内径4mm、全長150cm)を水平に設置し、粒子径20µmの磁性粒子懸濁液を50mL/minから400mL/minの透析とアフェレシスを想定した流量で、ローラポンプにより循環させた。循環中に血液回路の流入口と流出口を撮影し、その際の流動状態と画像から推定された磁性粒子の量を比較した。[結果] 磁性粒子懸濁液は、100mL/minより流出口まで一様に堆積を伴う流れとなり、160mL/minより均質流であった。また、磁性粒子の量は、100mL/minまで流入口に対して流出口の方が少なかったが、120mL/minより同量となった。[まとめ]磁性粒子が血液回路内で循環可能な限界流量は120mL/minであることが示唆された。しかし、アフェレシスを想定すると50mL/minで循環させるため、粒子径を小さくする等の検討が必要である。また、臨床を想定すると血液回路の様々な設置の条件での検討が必要であると考えられた。
著者
澤口 裕太 木村 主幸 菅原 俊継 三澤 顕次 有澤 準二
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.384-389, 2004-12-10 (Released:2011-09-05)
参考文献数
17

Although many studies have been conducted in relation to the biological effects of extremely-low frequency (ELF) magnetic fields, there is little agreement as to their total effects on living organisms. Related to this, we are concerned with the viral infection system; consisting of viruses and cells, and the following infection process: (1) absorption, (2) penetration, (3) synthesis of viral components, (4) maturation, and (5) release. This system enabled us to observe the effects of ELF magnetic fields more easily than using experimental animals. We divided these five steps into two groups. The first group is called the absorption period, which includes steps (1) and (2). The second group is called the proliferation period, which includes the remaining steps. In this investigation, we compared the two groups from the viewpoint of the effects when they were exposed to a 50Hz 62mT magnetic field. As a result, the 50Hz 62mT magnetic field inhibited the growth of the virus as compared to sham exposures. When either the absorption period or the proliferation period was exposed to the 50Hz 62mT magnetic field, growth was inhibited as well. It was clearly proven that the 50Hz 62mT magnetic field has an inhibitory action on viral infections, and the action can be observed throughout all processes in the viral infection system.
著者
菅原 俊継 海老川 慎 木村 浩一 木村 主幸 三澤 顕次 有澤 準二 五十嵐 治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.350, pp.67-72, 2000-10-06
被引用文献数
4

本報では, 遺伝子診断において最も重要とされている遺伝子抽出の全く新しい方法を提案した.まず, 中空糸膜の表面に金属を被覆した導電性中空糸膜を用いてウイルスの濃縮を行った.その後, 化学的にウイルス被膜を溶解し, 中空糸膜を負の電極として電気泳動を行うことによって電気的にウイルス遺伝子を抽出した.その結果, 濃度が5×10^4個/mlであるウイルス浮遊液から標的遺伝子が抽出された.この抽出法の最大の特長は, 膜によってウイルスの濃縮が迅速にできることである.また本遺伝子抽出法では, 膜の他に必要な装置は電源とポンプのみで, 人手による操作や処理が少ないことから, 自動化の可能性も有している.