著者
澤口 裕太 福永 優 高橋 範行 木村 主幸 三澤 顕次 有澤 準二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.596, pp.5-8, 2003-01-17
参考文献数
11

我々はこれまでに金魚を対象に極低周波数磁場の生体影響について検討し,50 Hz磁場を曝露すると体色変化や尿排泄量の増加など,様々な生体反応が生じることを確認してきた。本報では,尿排泄量の増加が誘導電流に起因しているかどうかを確認するために,50 Hz 62 mT磁場で発生する誘導電流と同等の交流電流を金魚に通電し,尿排泄量の変化を観察した。その結果,磁場曝露と同様に金魚の尿排泄量が増加した。さらに,誘導電流は磁場の周波数と比例関係にあることから,周波数に対する尿排泄量の変化について観察し,50Hz磁場では尿排泄量が増加し,逆に10 Hz磁場では尿排泄量が減少する傾向を確認した。これらのことから,金魚の尿排泄量の変化が誘導電流に起因すること見出した。
著者
金 安植 有澤 準二 三澤 顕次 木村 主幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EMCJ, 環境電磁工学
巻号頁・発行日
vol.96, no.441, pp.37-44, 1996-12-21
参考文献数
10
被引用文献数
4

本報では変動磁場による金魚の行動と体色に及ぼす誘導電流の影響について検討を行つた。具体的には、これまでに報告している150mT静磁場と62mT、10, 30, 50, 70Hz磁場の曝露影響を踏まえ、ここでは70Hz, 62mT磁場の金魚の遊泳行動に不統一な影響が周波数そのものの影響か、または磁場強度による誘導電流の大きさによるものかを確かめるため、磁場強度を26mTに低下させ、行動観察を行った。その結果、磁場曝露期間中の金魚の遊泳行動に抑制が観察された。その一方で、曝露後の金魚に体色の変化が見られ、この原因が誘導電流にあるのではないかと考えられたため、金魚の形に近い楕円回転体モデルから誘導電流を試算した。また、その誘導電流値と同値の交流電流を金魚に流し、その体色変化を観察した。さらに、150mT静磁場での金魚の行動が亢進された原因についても詳しく検討した。
著者
長澤 竜馬 清水 久恵 三澤 顕次 山下 政司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.279, pp.13-17, 2009-11-05
参考文献数
8

一般に,心拍数の増減が感性の興奮状態を表すとされているが,これまでの研究や専門文献から日常生活程度で起こる弱い興奮状態においては,その概念が常に成り立つとは言い難いのが現状である.そこで,弱い興奮時にも応答するセンシティブな興奮指標を考案することにした.多角的なアプローチの中で,感性喚起刺激時の呼吸波と心拍変動のRSA(呼吸性洞性不整脈)成分などの相互相関係数を互いの遅れ時間を考慮して求めたところ,主観評価の興奮スコアとの関連が見出された.これは心肺系の休息レベルとの関係が示唆されるRSA機能によるものと考えられ,感性の興奮時にはこの機能が減弱すると推測される.
著者
今野 誉人 岸田 茂也 木村 主幸 三澤 顕次 有澤 準二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.98, no.400, pp.13-18, 1998-11-17
参考文献数
8
被引用文献数
2

これまでに我々は、ELF帯の磁場による生態影響として金魚の体色変化を確認してきた。本報では、体色変化と変動磁場による誘導電流の大きさとの関係を検討するため、商用周波数である50Hz、62mT曝露時に金魚に発生する最大誘導電流密度と、この2倍及び3倍の値と等価な交流電流を金魚に通電した。その結果、電流値が大きくなるにつれて短期間で体色変化が現れることがわかった。また、電流値が大きいと曝露後に体色変化から復帰するものが少なく、その後短期間で死亡する傾向が見られた。この傾向を確認するため、50Hz、62mTの磁場を金魚に曝露したところ、曝露しない金魚よりも、曝露した金魚では明らかに、生存期間が短くなることが判明した。
著者
坂本 将樹 小田切 久恵 三澤 顕次 有澤 準二 清水 孝一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.72, pp.29-36, 1996-12-21 (Released:2017-10-13)

ELF電界の生体影響を定量的に評価するため、安全基準の中心となる電界感知閾値について、実際の人体を対象に基礎的検討を行った。まず電界の生体作用の機序を理論的・実験的に調べ、電界の交流・直流の違いによる感知閾値の変化を解析した。その結果、ヒトの電界感知の機序としては、体毛の動きによる体表刺激が支配的であること、また交流電界の方が直流電界に比べ感知閾値が低くなることなどが確かめられた。これらの結果に基づき、電界感知閾値の個人差の原因について詳しい解析を行った。これまで電界感知については、電流刺激の場合とは逆に男性の方が女性より閾値が低いと思われてきた。実験的解析の結果、この個人差は男女差というよりは体毛状態の違いに起因することがわかった。また体毛状態が同じ場合には、女性の閾値の方が低くなる可能性も認められた。次に別の個人差の要因として、被験者の心理状態の影響について検討を行った。その結果、電界感知の経験の有無や電界の体表刺激についての知識・情報の有無によっても、感知閾値が変化することが明らかとなった。ただしこれらの変化の幅は、以前に明らかにした相対湿度変化に伴う感知閾値変化の幅に比べると、はるかに小さいものであった。
著者
澤口 裕太 木村 主幸 菅原 俊継 三澤 顕次 有澤 準二
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.384-389, 2004-12-10 (Released:2011-09-05)
参考文献数
17

Although many studies have been conducted in relation to the biological effects of extremely-low frequency (ELF) magnetic fields, there is little agreement as to their total effects on living organisms. Related to this, we are concerned with the viral infection system; consisting of viruses and cells, and the following infection process: (1) absorption, (2) penetration, (3) synthesis of viral components, (4) maturation, and (5) release. This system enabled us to observe the effects of ELF magnetic fields more easily than using experimental animals. We divided these five steps into two groups. The first group is called the absorption period, which includes steps (1) and (2). The second group is called the proliferation period, which includes the remaining steps. In this investigation, we compared the two groups from the viewpoint of the effects when they were exposed to a 50Hz 62mT magnetic field. As a result, the 50Hz 62mT magnetic field inhibited the growth of the virus as compared to sham exposures. When either the absorption period or the proliferation period was exposed to the 50Hz 62mT magnetic field, growth was inhibited as well. It was clearly proven that the 50Hz 62mT magnetic field has an inhibitory action on viral infections, and the action can be observed throughout all processes in the viral infection system.
著者
菅原 俊継 海老川 慎 木村 浩一 木村 主幸 三澤 顕次 有澤 準二 五十嵐 治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.350, pp.67-72, 2000-10-06
被引用文献数
4

本報では, 遺伝子診断において最も重要とされている遺伝子抽出の全く新しい方法を提案した.まず, 中空糸膜の表面に金属を被覆した導電性中空糸膜を用いてウイルスの濃縮を行った.その後, 化学的にウイルス被膜を溶解し, 中空糸膜を負の電極として電気泳動を行うことによって電気的にウイルス遺伝子を抽出した.その結果, 濃度が5×10^4個/mlであるウイルス浮遊液から標的遺伝子が抽出された.この抽出法の最大の特長は, 膜によってウイルスの濃縮が迅速にできることである.また本遺伝子抽出法では, 膜の他に必要な装置は電源とポンプのみで, 人手による操作や処理が少ないことから, 自動化の可能性も有している.